2008 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキタス金属触媒を用いる新規な複素環合成法の開発
Project/Area Number |
20613010
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高木 謙 Hiroshima University, 工学研究科, 教授 (80116615)
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Keywords | ユビキタス金属 / ボーダーライン金属触媒 / ビスマス / 鉄 / 複素環 |
Research Abstract |
ユビキタス金属であるBi(OTf)_3は4-ペンチンカルボン酸類の分子内環化反応(ヒドロオキシカルボニル化反応)において、非常に高い触媒活性を示し、5員環ラクトン類を高収率で与えることを見いだした。その活性は、ソフトな貴金属触媒であるPd(II)やPt(II)を圧倒的に凌駕する。さらに驚くことに、ビスマス触媒を使用すると、対応するカルボン酸エステルでも分子内環化反応が進行する。すなわち、類例の無いエステルのアルキル基の転移を伴う環化反応(カルボオキシカルボニル化反応)が起こることを発見した。若干の収率低下は見られるものの、Fe(OTf)_3でも反応が進行する。 さらに4-アミノメチル-1,6-エンイン類はビスマス触媒の作用により、他の方法では合成が困難な6-アザビシクロ[3.2.1]-2-オクテンに効率的に変換できることが分かった。反応機構の検討により、この反応は活性化されたアルキン部位へのオレフィンの攻撃と引き続くアミノ基の環化反応により進行することを明らかにした。また、ビスマス触媒を用いると、プロパルギルアミンと1,3-ジケトン又はβ-ケトエステルの分子間反応で様々な置換基を持つ有用なピロールが合成できることを見いだした。 これらの知見はユビキタス金属の中でも、ハード酸とソフト酸の中間に位置する鉄やビスマス等のボーダーライン金属は炭素-炭素多重結合と酸素や窒素等のヘテロ官能基の両者を同時に活性化して、複素環を合成する新規な可能性を開くものである。
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Research Products
(7 results)