2009 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキタス金属触媒を用いる新規な複素環合成法の開発
Project/Area Number |
20613010
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高木 謙 Hiroshima University, 大学院・工学研究科, 教授 (80116615)
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Keywords | ボーダーライン触媒 / 鉄触媒 / ビスマス触媒 / 環化反応 / ピロール / N,O-アセタール / ヒドロアリール化反応 |
Research Abstract |
(1) ビスマス触媒を使用すると、2-プロピニルアミンと1, 3-ジケトンまたはβ-ケトエステルの縮合反応と環化反応が連続的に進行して、多置換のピロール環が高収率で合成できることを見出した。この反応はBi(OTf)3のσ-酸性とπ-酸性が協奏的に作用した結果である。 (2) 両末端にオレフィンとプロパルギルアルコールを有するアミンにBi(OTf)3触媒を作用させると、アルキンを橋頭位に有する1-アルキニル-3-アザビシクロ[3. 1. 0]ヘキサンが合成できることを発見した。この反応は形式的には、プロパルギルアルコール部位がアルキニルカルベン等価体となり、これがオレフィン部位に付加してシクロプロパン化したと見なせる驚くべき新反応である。この反応の鍵はボーダーライン触媒であるBiがプロパルギルアルコールのOHと炭素-炭素三重結合の両者を活性化した状態をつくり、脱OHによるアレンの生成と環化(オレフィンの攻撃)が同時に起こることにより進行する。 (3) Fe(OTf)3触媒は窒素上にアルケニル基を有するN, O-アセタールの分子内環化反応に高い触媒活性を示し、様々な環サイズの含窒素複素環を容易に生成することを見出した。これは鉄触媒によるイミニウムイオンの効率的発生と、オレフィン部位がFeへの配位により活性中心に接近していることに起因する。 (4) 4-アリールアルキンのヒドロアリール化反応は縮合芳香族化合物を合成する重要な反応であるが、通常アリール基が電子供与体、アルキン部位が電子受容体として働く。驚くことにFe(OTf)3を触媒に使用すると、逆に電子不足なアリール環と電子豊富なアルキンの組み合わせの方が効率的に反応することを発見した。この結果はこの反応の基質多様性を大きく広げるものである。
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Research Products
(4 results)