2010 Fiscal Year Annual Research Report
ニッケル省資源型高窒素ステンレス鋼の組織制御に関する研究
Project/Area Number |
20613014
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
片田 康行 独立行政法人物質・材料研究機構, 燃料電池材料センター, NIMS特別研究員 (30127211)
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Keywords | 金属材料 / 高窒素ステンレス鋼 / 組織制御 / 機械的性質 / 結晶粒微細化 / 薄板冷間圧延加工 / シームレスパイプ加工 / ステント |
Research Abstract |
物質・材料研究機構(NIMS)で開発された「ニッケル省資源型高窒素ステンレス鋼(HNS)」は、高耐食、高強度、非磁性の特長を有するニッケル省資源型のステンレス鋼で、今後の展開が期待されているが、最大の問題点は、窒素(N)の固溶強化や加工硬化による加工性の低下である。本研究の目的は、組織制御による加工性向上の指針を得ることである。具体的な組織制御法としては、再結晶法による結晶粒微細化手法の確立である。平成20年度は、種々の添加元素を含む最適合金設計を行い、さらに、冷間加工による予ひずみの影響についても調査した。その結果、Nbを窒化物微細分散用の添加元素として、冷間加工度80%と、900℃×5分間の熱時効処理を組み合わせることにより結晶粒微細化挙動を調べた。その結果、受け入れ材の結晶粒径が70~100μmであったものが10μmまで微細化でき、さらに、伸びが40%から50%程度に増加することなどを明らかにした。平成21年度は、このような加工プロセスを用いて、実際に薄板加工やシームレス細管加工への適用性を検討した。その結果、冷間薄板加工については、板厚0.18mmで、結晶粒径:10μm程度、シームレス細管加工については、Φ1.4mmで、肉厚:0.1mmで、結晶粒径:12μm程度のものが加工できることを示した。平成22年度、この薄板材の燃料電池用セパレータへの適用性を求めて、さらに0.1mm板厚のオーステナイト鋼板の試作に成功し、セパレータを模擬したプレス加工についても加工可能なことが確認できた。薄板材の成果は、セパレータの実用化に向けた企業との共同研究が期待される。またシームレスパイプの成果は、生体材料分野におけるニッケルアレルギー対策材として、冠動脈ステント用素材の候補材として、その適用可能性を検討している。
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Research Products
(1 results)