2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20650001
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小柴 健史 Saitama University, 理工学研究科, 准教授 (60400800)
|
Keywords | 量子計算 / 量子暗号 / 暗号理論 / 脱量子化 / 脱乱択化 / ビット委託 / 紛失通信 / 量子アルゴリ |
Research Abstract |
本研究課題では,アルゴリズム構築の新しいパラダイムとして「脱量子化手法」を確立することが目的であるが,今年度は,それへ向けて,古典計算暗号技術でよく用いられているインタラクティブハッシングと呼ばれる技術と,BB84量子鍵配送プロトコルで用いられているBB84量子状態との関係に着目した.BB84量子状態を用いて量子暗号プロトコルを設計することは比較的よく利用される常套手段であるが,BB84量子状態とインタラクティブハッシングが対応するため,まずBB84量子状態を用いて量子暗号プロトコルを設計し,その後インタラクティブハッシングに置換して脱量子化させることができる可能性が見えてきた.また,この考え方を紛失通信などに適用するためにも,紛失通信の基礎理論に関しての研究を進め,計算量理論的な観点からは従来の密な落とし戸付き一方向性置換の存在性の前提を特殊な形の落とし戸付き一方向性関数の存在性に緩和し,かつ,それ以上緩和することは困難である状況証拠を与えた.情報理論的な観点からは,多項式補間による秘密分散のアイデアを用いて,敵対者の数の上限を設定することで,分散環境において情報理論的に安全な方式が構成できることを示した.具体的には,従来方式として分散紛失通信における安全性の問題点を指摘し,従来の安全性の定義を強化するとともに,その強化された安全性を達成する方法を構築した.紛失通信は,その性質が未解明なことが多く,これらの成果により紛失通信の理解が進むことが期待でき,さらに脱量子化手法の適用を検討するための環境の整備が進めることができた.
|