2010 Fiscal Year Annual Research Report
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20650001
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小柴 健史 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60400800)
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Keywords | 量子暗号 / 量子計算 / 暗号理論 / 脱量子化 / 脱乱択化 / ビット委託 / 紛失通信 / インタラクティブハッシュ |
Research Abstract |
本研究課題では,アルゴリズム構築の新しいパラダイムとして「脱量子化手法」を確立することが目的であるが,前年度に着目した古典計算暗号技術でよく用いられているインタラクティブハッシングと呼ばれる技術とBB84量子鍵配送プロトコルで用いられているBB84量子状態との関係について,本年度はその応用研究を行った.両者の関係は量子化・脱量子化の関係にあり,まず,古典暗号理論における重要な定理の一つであるインタラクティブハッシュ定理の量子版として,非対話量子ハッシュ定理を導いた.これを応用し,量子一方向性関数に基づいて非対話形式の統計的秘匿性を持つ非対話の量子ビット委託プロトコルを構成することに成功した.古典暗号理論においては,ビット委託と紛失通信は大きく異なるプロトコルとして認識されているが,量子暗号においてはその親和性を示す状況証拠が得られていた.特に,F-束縛と呼ばれる特殊な束縛性を持つ文字列委託の存在を仮定した場合,量子紛失通信が得られることが知られており,F-束縛な文字列委託プロトコルをどのように構成すればよいのかは未解決問題のまま残されていた.量子一方向性関数に基づく非対話形式統計的秘匿ビット委託プロトコルを並列化することにより,F-束縛な文字列委託プロトコルを構成出来ることを示し,結果として,量子一方向性関数から量子紛失通信プロトコルを構成することに成功した.量子紛失通信は量子マルチパーティ計算につながると予想されるため,量子暗号理論においては量子一方向性関数の存在という妥当な仮定から高度な暗号プロトコルが構成できることを示唆するものとなっている.
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