2008 Fiscal Year Annual Research Report
力学系間の時間調整を基盤とする適応的な行動生成機構
Project/Area Number |
20650026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川嶋 宏彰 Kyoto University, 情報学研究科, 講師 (40346101)
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Keywords | ハイブリッドダイナミカルシステム / 適応的行動生成 / 力学的分節点 / タイミング制御 / 分節化 / Central Pattern Generator (CPG) / トルクパターン / 歩行動作 |
Research Abstract |
複雑なリズムやタイミングに自らの行動を合わせるといった時間調整機能が,進化圧に耐えて人に備わったのは,動的環境下での生存に必須であったためと考えられる.本研究ではこの時間調整機能に着目した,多自由度ロボットの新たな行動生成・学習手法を考案する.具体的には,ロボットのアクチュエータにおける各駆動パターンを,ハイブリッドダイナミカルシステム(以後単にハイブリッドシステム)の枠組みでモデル化することで,複数の力学系の遷移によって生成できる機構を考える.このとき,力学系が切り替わる分節点間の,時間軸上における関係を学習・調整できる仕組みを導入することで,(1)過去に学習した動作の利用による新規行動の獲得,および(2)身体動作のタイミング制御によるダイナミックかつ状況適応的な行動生成を実現するための理論的枠組みを構築する. 平成20年度は「周期的歩行動作」に焦点を絞り,周期的動作を生成できるハイブリッドシステムの学習を目指した.これには,あらかじめ学習データとしてトルクパターンが必要となるが,歩行動作を実現するためのトルクパターン生成系としては,脊髄におけるCentral Pattern Generator(CPG)やその数理モデルが知られている.そこで,CPGモデルより生成されるトルクパターンを学習系列として利用することで,単純なトルクパターンを生成する力学系をプリミティブとして同定するとともに,それら力学系の間の遷移構造を学習する手法を開発した.この学習により,CPGの微分方程式系モデルは,離散事象系を含むハイブリッドシステムによって表現されるため,力学的分節点を時間軸上で明示的に扱い制御することが可能となる.今後はこの力学的分節点のタイミング調整に基づく,自由度の高い行動生成および行動創発の可能性を探る.
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