2008 Fiscal Year Annual Research Report
多数の試料に対する感性計測を効率的に実施する一対比較法の開発
Project/Area Number |
20650027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小澤 賢司 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (30204192)
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Keywords | 一対比較法 / 感性計測 / ダイアゴナル一対比較法 / サイクリック一対比較法 / 最尤推定法 / シェッフェの一対比較法 / 浦の変法 |
Research Abstract |
感性を計測する手法の中でも,シェッフェの一対比較法(浦の変法)は種々の要因について有意性を検討できる強力な手法である.しかし,評価実験の規模が試料の組合せ数に比例して増加するので,多数の試料を扱う実験には不向きである.そこで,本研究では浦の変法と同様な解析能力を有しつつ,より効率的な手法であるダイアゴナル一対比較法を提案して定式化することを目的とした.平成20年度は,先行研究により提案されたサイクリック一対比較法に関して検討を行った結果に基づいて,ダイアゴナル一対比較法の提案を行った.その概要を以下に述べる. サイクリック一対比較法では,k個の試料の評価にあたってk回の比較を行うだけで,主効果・主効果の個人差・順序効果について浦の変法と同様の解析が可能である.しかし,先行研究ではkが5の場合の解が具体例として示されているに留まり,解の一般式は示されていない.その求解は代数学的方針でも可能であるが,試料数kが大きい場合には解の項数が爆発的多数となり,また試料を表す添字の並びルールが複雑となるため見通しが極めて悪く,実用的とはいえなくなる.そこで,本研究では最尤推定法を用いることで,まず試料数kが5の場合について解を一般式として導出することに成功した. その検討結果を吟味したところ,一対比較表における斜めの成分(ダイアゴナル成分)に着目すれば,試料数kが奇数という条件の下では常に求解可能であることが判明した.すなわち,サイクリック一対比較法では,kが大きい場合には全てのサイクリックを均等に網羅する実験計画の立案は困難であるのに対して,ダイアゴナル成分だけを比較対象とすることで確実かつ容易に実験計画が立案可能であることを示した.これをダイアゴナルー対比較法と命名し,分散分析から尺度値の算出までを実施するのに必要十分な情報を開示した.
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