2008 Fiscal Year Annual Research Report
非線形時系列解析論と複雑ネットワーク論の融合による新しい複雑現象解析技法
Project/Area Number |
20650032
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
池口 徹 Saitama University, 理工学研究科, 教授 (30222863)
|
Keywords | 非線形力学系 / 複雑ネットワーク / カオス / アトラクタ / 古典的多次元尺度法 / サロゲートネットワーク |
Research Abstract |
本研究は,非線形時系列解析論と複雑ネットワーク論で用いられている解析法を相互に適用することで,従来までは捉えることができなかった複雑現象の数理構造を解明するための理論を構築し,具体的な解析アルゴリズムを提案することが目的である.これにより,非線形時系列解析論の新たな突破口を切り開き,さらには,複雑ネットワーク論に新たな理論展開をもたらす斬新な方法論を展開する.平成20年度は,(1)複雑ネットワーク論における定量化指標を用いた力学系のアトラクタの定量化,及び,(2)非線形時系列解析論における定量化指標を用いた複雑ネットワークの定量化に重点を置き研究を遂行した.(1)では,力学系のアトラクタをネットワークへと変換するアルゴリズムを提案した.数理モデルを用いた解析の結果,カオス的アトラクタから変換されたネットワークが複雑ネットワークの有する種々の特徴的な性質を有することを明らかにした.現在,これらの特徴的な性質がカオス的力学系の有する基本的メカニズムによって引き起されることを調査している.(2)では,古典的多次元尺度法を用いることでネットワークを時系列信号へと変換し,解析する手法を提案した.これにより,従来の複雑ネットワークの定量化指標のみでは得ることができなかった情報を抽出することが可能となった.'また,提案手法を用いることで,ネットワークの静的情報のみから,ネットワークの生成過程に関する情報を得ることが可能となっている.さらに,ネットワークの時系列信号への変換が可逆であることから,元のネットワークのある特徴量のみを保存たサロゲートネットワークの生成手法を応用する可能性を見出した.
|
Research Products
(8 results)