2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20650036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
松井 三枝 University of Toyama, 医学薬学研究部, 准教授 (70209485)
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Keywords | モラル / 光トポグラフィ / 自己意識情動 / 前頭前野 / 皮膚伝導反応 / 社会的ルール / 脳機能画像 / 恥 |
Research Abstract |
本研究では、第1に、社会的ルールの知識構造を自記式調査によって検討する。さらに様々な状況におけるルールの重要性やその必要性について調査し、社会的ルールの知識構造とモラル意識の水準との関連を明らかにする。第2に、恥と罪悪感といった自己意識情動がモラル意識に関与しているかどうか、また関与しているならば、どのように関与しているかを認知実験的アプローチにより検討する。モラル意識に関する認知課題施行時に脳機能画像による脳賦活状態と生理心理学的指標の双方を指標として検討することにより、モラル意識に関与する神経機構を明らかにしようとする。本年度は第1に約240名の健常者に対して、社会的ルールに関する記述を求める予備的調査を行ない、結果を解析中である。この結果を基に、次年度さらに精錬させた調査を行なう予定である。第2に多チャンネル近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)である全脳型光トポグラフィを用いて、モラル意識課題賦活による酸素化ヘモグロビン(Oxy-Hb)の濃度変化の検討を行なった(実験1)。実験2でモラル課題施行中にNIRSと同時に皮膚伝導反応(GSR)を測定することを試みた。また、この際の恥や罪悪感といった主観的な自己意識情動を評価してもらった。結果、実験1において、自己意識的情動の喚起により、前頭前野のOxy-Hb濃度変化量の増加が示された。実験2において、罪悪感条件に比べ恥条件で、Oxy-Hb濃度変化量が増加し、GSRによる皮膚電気抵抗値が減少することが示された。本結果より、モラル意識が生起するためには自己意識的情動の喚起が必要であるということが示唆された。また自己意識的情動の中でも、特に恥の喚起が、日本人にとってのモラル意識の生起に重要な働きをする可能性が示唆された。次年度は被験者数を増やし、さらに実験を精錬させて検討を進める予定である。
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