2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経活動による樹状突起内局所翻訳の可視化とマイクロRNAによる制御
Project/Area Number |
20650052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
山形 要人 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (20263262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 弘子 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (40162870)
田中 秀和 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70273638)
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Keywords | マイクロRNA / 神経活動 / 樹状突起 / 局所蛋白合成 |
Research Abstract |
脳内には極めて多種類のmiRNAが発現しており、それらが部分的に相同な3' UTRに結合し、翻訳を制御すると考えられている。また、神経細胞内のmRNA翻訳はシナプスを介した神経活動によっても調節されており、特に樹状突起で翻訳されて作られる蛋白質はシナプス可塑性を制御していると考えられる。これらの事実から、神経活動が亢進するとmiRNAによる翻訳抑制が外れ、作られた蛋白質がシナプス可塑性を制御するという仮説が考えられる。この仮説を検証するため、arcと名付けた蛋白質に注目した。Arcは活動依存的に転写され、その転写産物が細胞体から樹状突起へと運ばれる特徴を持つため、上記の仮説の検証に適している。まずその3' UTRに結合するmiRNAを同定した。既に報告されているmiRNAデータベースを用いて、arcの3' UTRに相補的なmiRNAを検索し、種を越えて保存されているmiRNAを見出した。そのmiRNAと肝臓に特異的なmiRNAを合成し、3' UTRを含んだarc cDNA発現プラスミドと共にHEK293T細胞へ遺伝子導入した。合成されたarc蛋白質をイムノブロッティングにより比較定量したところ、arc 3' UTRに結合するmiRNAを導入した細胞では、arc蛋白質の発現量が有意に低下していた。 次に、arc 3' UTR内のmiRNA結合配列の変異体を作成することによって、miRNAによるarc mRNAの翻訳抑制を確認した。ミリスチン酸結合配列を付加したGFPにarc 3' UTRを繋げたプラスミド(myr-GFP-arc 3' UTR)を作製し、そのmiRNA結合配列を欠失させたところ、miRNAによる翻訳抑制が解除された。以上の結果から、今回同定したmiRNAがarcの翻訳を抑えることによって、神経活動依存的な樹状突起内蛋白合成を制御していると考えられた。
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