2008 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス前終末内ミトコンドリアによるシナプス可塑性の制御機構
Project/Area Number |
20650057
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
真鍋 俊也 The University of Tokyo, 医科学研究所, 教授 (70251212)
|
Keywords | 神経伝達物質 / 放出機構 / シナプス前終未 / 短期可塑性 / カルシウム / シナプス伝達 / 遺伝子改変マウス / 海馬 |
Research Abstract |
1. 海馬スライス標本のCA1領域において、細胞外電位記録法を用いて興奮性シナプス応答を記録した。NMDA受容体を阻害した状態で5H_z、3分の刺激を与えると、刺激終了後に二相性の短期可塑性が誘導されることを見出した。早い相では2発刺激促通の現象を伴う短期増強が消失していくところが観察され、遅い相では短期抑圧が徐々に回復していくところが観察された。ミトコンドリアの機能を変化させる種々の薬物によりこの短期可塑性が修飾されることから、これらの短期抑圧ミトコンドリアのカルシウム放出能やエネルギー産生が関与していることが明らかとなった。これまで知られていなかった神経機能におけるミトコンドリアの新たな役割を解明することができた。遺伝子改変マウスなどを用いて、さらに解析を進める予定である。 2. 海馬CA3領域の苔状線維シナプスでは、2発刺激によりきわめて大きな促通が誘導されることが知られている。また、このシナプスにおける長期増強は、神経伝達物質の放出が増加するというシナプス前性の長期的な変化により発現していることもわかっている。このような特性にシナプス前終未内のカルシウムストアーが関与しているか、関与しているとするとどのような機構により影響を及ぼすかについてはよくしられていない。リアノジン受容体を阻害すると、一発刺激によるシナプス前終未内のカルシウム濃度はまったく変化しないが、連続刺激の最中には大きく減少することを見出した。また、免疫電顕の解析から、シナプス前終未ではなく軸索部の滑面小胞体に2型リアノジン受容体が発現していることが明らかとなり、軸索の興奮によるカルシウム上昇により2型リアノジン受容体を介したカルシウム放出が起こることか明らかとなった。これらの結果から、リアノジン受容体を介した新たなシナプス前修飾機構を解明することができた。
|
Research Products
(10 results)