2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内動態の精密制御に基づいたナノキャリアのトランスサイトーシス輸送制御の新戦略
Project/Area Number |
20650072
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
秋田 英万 Hokkaido University, 大学院・薬学研究院, 助教 (80344472)
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Keywords | トランスサイトーシス / 極性細胞 / リポソーム |
Research Abstract |
正常組織の血管内皮細胞は、互いに隣接する細胞間でタイトなジャンクションを形成しており、高分子ナノキャリアの血中から組織実質への輸送は著しく制限されている。従って、トランスサイトーシスによって細胞単層を透過可能なキャリアが構築できれば、血管内皮バリアの克服につながり、DDS研究の究極的な目標である血中投与を介した組織実質移行性ベクターの実現への大きなブレイクスルーとなる。本年度は、細胞内オルガネラの中でも細胞内ソーティングにおいて中心的役割を果たすゴルジ体への標的化と、本戦略とは別にトランスサイトーシス経路標的化ペプチドの探索を行った。 極性細胞であるMDCK細胞などにおけるR8-MENDの細胞内動態解析を行なった結果、他の細胞における動態とは大きくことなり、エンドソーム脱出効率が悪いことが明らかとなった。また、従来のカチオン性脂質と異なり、R8-MENDの一部はゴルジ体に移行することを明らかとした。 また、前年度に構築した新規トランスウェルを用い、多岐にわたるペプチドを修飾したリポソームの単層細胞培養系の透過性を解析した結果、ファージディスプレイ法によって同定されたペプチドのうちのひとつをリポソーム表面に修飾することにより、マウス脳毛細血管内皮細胞由来細胞からなる単層を透過できることを明らかとした。また、本ペプチドの長さ、配列などを種々改変し、同様にリポソームの透過実験を行った結果、ナノ粒子のトランスサイトーシスを誘起可能な新規コンセンサス配列を世界に先駆けて同定することに成功した。さらに、細胞内取り込み機構を解析した結果、本粒子はカベオラにより取り込まれ、さらに、本経路を阻害することによってトランスサイトーシスも阻害されることから、本経路がトランスサイトーシスに重要な役割を果たすことを明らかとした。また、脳毛細血管内皮細胞への標的化ペプチドとして、leptin由来ペプチドが有用であることを見出した。
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Research Products
(6 results)