2008 Fiscal Year Annual Research Report
内視鏡下胎児手術における柔支持マニピュレータシステムの開発
Project/Area Number |
20650077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寥 洪恩 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授 (40396784)
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Keywords | 胎児外科 / マニピュレータ / 画像誘導 / 柔支持 / 超音波画像 / バルーン / 内視鏡画像 / ロボット |
Research Abstract |
胎児を支持する目的は、内視鏡下に脊髄髄膜瘤などを手術する際に、胎児が浮遊したり動いたりする事を防ぎ、手術をスムーズに行えるようにすることにある。その際に、胎児を圧迫したり臍帯を傷つけたりしないような機構が求められる。本年度では、内視鏡下胎児手術における柔支持マニピュレータの開発を行い、リアルタイム画像誘導手術支援環境を構築した。具体的には、1)胎児手術における胎児支持法及び柔支持マニピュレータの開発手術中の胎児の回転や術具による押し込みを抑えるマニピュレータを提案し、挿入径が小さく、かつ子宮内で胎児に対して大きな接触面積を確保できる機構を開発した。マニピュレータの胎児腹側からの保持部は、胎児の躰幹部に応じて屈曲角を調整し更に屈曲によるマニピュレータ先端の通過領域を小さくするため、各関節中心に超弾性合金を配置して関節の硬さに差を与え、先端側からの屈曲を可能とした。先端部を湾曲させることで、屈曲機構を覆うようにバルーンを各フレームに固定し、マニピュレータを子宮内へ挿入後に保持部屈曲により必要形状に変化させ、生理食塩水を注入し膨らませるバルーンが沈み込んでも固い部分には接触せず、胎児を損傷することなく、胎児の柔軟な支持が可能とした。柔支持部であるバルーンには、胎児の皮膚反応を引き起こす可能性が考えられるラテックス製品を避け、新たにバルーンを開発し、その形状をドーナツ型とすることで圧迫を与えずに胎児を支える。低侵襲性実現のために、バルーン径と挿入口のサイズのバランスも検討した。2)術中情報と手術支援マニピュレータを連関させる画像誘導システムの開発胎児内視鏡手術においては、超音波画像誘導が一般的に用いられている。そのため、本システムでも内視鏡画像と超音波断層像による誘導が可能であり、マニピュレータに対する胎児や臍帯等との位置関係を把握する。超音波診断装置は、胎児にたいする安全性が高いと考えられているため、本研究においても、超音波画像で撮像を行い、柔支持マニピュレータの湾曲機構と柔支持部を確認しながら、胎児手術の支援が行った。また、バルーンの超音波画像を鮮明にするために、術中の超音波画像や内視鏡画像からバルーンの位置と姿勢を分析し、バルーンに注入する生理食塩水の量を調整したがら、適切な位置でバルーンを膨らませ胎児の支持を行う手法を開発した。
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