2008 Fiscal Year Annual Research Report
直流電気通電による軸索再生促進効果を利用した新しい治療法の確立
Project/Area Number |
20650085
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
北條 達也 Doshisha University, スポーツ健康科学部, 教授 (40298740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 浩芳 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (90381962)
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Keywords | 理学療法学 / 物理療法学 / リハビリテーション / 神経再生 |
Research Abstract |
本研究の目的は、直流電気刺激を利用した、新たな末梢神経再生治療法を開発することである。軸索伸長速度は約0.5mm〜1mm/日と非常に遅いため、その間に効果器官の萎縮変性などが生じ、損傷前の状態への回復は困難である。軸索再生を促進するため、直流電流刺激に着目した。電気通電は、骨癒合促進への応用など物理療法として安全な治療法の一つとなりつつあり、in vivoで末梢神経の軸索再生を促進することは報告されているが、末梢神経再生治療への応用は確立でされていない。 より臨床における治療に近い状況で通電実験を行えるように、シリコンシートを用いたオリジナルの電極を考案・作成した。Wistar系雄ラット10週齢を用いて、坐骨神経に圧挫損傷を加えた後、圧挫部を挟んでシート電極を装着した。パルス幅500μs,頻度10Hz,強度10V,通電時間15分の条件で毎日通電を行い、損傷後7日目,14日目にサンプルを回収した。実験群は、無処置群、損傷のみ群、損傷後末梢陽極通電群の4群で検討した。前脛骨筋の筋湿重量を測定したところ、7および14日目では無処置群に対し、他群で有意に減少していた。次に、損傷神経および前脛骨筋内のNeuregulin-1の発現量をWestern blotting法で解析したところ、末梢陰極通電群で有意にNeuregulin-1の発現が上昇していた。また、筋組織の免疫組織化学染色では、14日目にNeuregulin-1の発現が上昇していた。 以上から、末梢陰極通電が再生軸索および筋組織内のNeuregulin-1の発現を上昇させ、末梢神経再生を促進させている可能性が示唆された(論文作成中)。来年度は、運動機能評価を行い、より長期的な変化を検討し、また、生化学的解析により再生メカニズムのさらなる解明を行う予定である。
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