2010 Fiscal Year Annual Research Report
舞台芸術家のためのスポーツ心理学的手法による傷害予防方法の策定
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20650102
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
河野 照茂 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (10135048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷田部 かなか 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (00387028)
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Keywords | スポーツ傷害 / スポーツ心理 / 舞台芸術 / 解析・評価 / モデル化 |
Research Abstract |
まずprospectiveにバレエダンサーの外傷・障害調査を行った。対象はアマダンサー46名(平均18.7±0.6)歳、介入群と非介入群を各23名に分け、6ヶ月間隔週毎に直接検診を行った。介入群に対しては、治療方法やトレーニング方法について指導をした。同時に傷害のリスクファクター(S Byhring,2002)との関連も調査した。 傷害総数は160件、バレエ活動1,000時間あたり4.8件で、障害が89%と殆どであった。傷害総数の推移をみると、介入開始日の53件から終了日の10件に減少した。リスクファクターであるトレーニング因子については、骨盤アライメント不良(61→20%)、関節可動域減少(37→7%)、筋のタイトネス(24→0%)、とすべて改善した。心理的因子は、傷害発生数が多い時は気分得点が有意に不安定であり、少ない時は安定していた。外傷・障害数の減少には、トレーニング因子の改善、心理的因子の安定が要因と考えられた。 次に、上記の非介入群で経時的調査が可能な20名について、個々を重要視した調査を6ヶ月間行った。また傷害のリスクファクターであるトレーニング因子に加えて体調、気分のVAS点数を傷害発生時と合わせて評価した。 傷害総数は43(外傷11、障害32)件であり、バレエ活動1,000時間あたり3.0件と発生件数が減少した。傷害総数の推移は、介入開始日が一人あたり0.8件、終了日は0.2件と減少し、傷害発生時は体調、気分とも低値であり、傷害がなくレッスンができる時は高値であった。生化学的指標では、通常練習(5時間/1日)よりも、配役決定後の練習(8時間/1日)、特別講師指導の練習(10時間/1日)、オーディション時期のような環境要因が変化した日に精神的指標に変動が現れやすい傾向だった。 このように、アマチュアバレエダンサーに対して、疼痛が継続するバレエ特有の傷害のケアを定期的に介入することが有効であり、外傷・障害の発生件数を減少させた。トレーニング因子のみならず、心理的、環境的因子からのアプローチが必要と考えられた。
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Research Products
(7 results)