2008 Fiscal Year Annual Research Report
鉄欠乏、貧血、または運動が脳の機能および遺伝子・タンパク質発現に及ぼす影響
Project/Area Number |
20650104
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大平 充宣 Osaka University, 医学系研究科, 教授 (50185378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 直也 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (90324508)
河野 史倫 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90346156)
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Keywords | 脳 / タンパク質 / 遺伝子 / 鉄欠乏 / 貧血 |
Research Abstract |
生後3週齢のラットを普通食群、100ppm群、3ppm群に分け、100ppm群および3ppm群にはそれぞれの濃度の低鉄食を20週間摂取させた。摂取開始13週目にホイールケージを用いた自発運動量測定を行い、17週目に迷路水槽テストを実施した。脳のサンプリングおよび採血は20週目に行った。採取した血液を用いてヘマトクリット値および血中ヘモグロビン含量を測定したところ、通常群および100ppm群ではヘマトクリット値が約45%、ヘモグロビン含量が約15g/dlであったが、3ppm群ではヘマトクリット値は15%程度まで、ヘモグロビン含量は約4g/dlまで低下したことが確認された。自発運動量も3ppm群において、他の群と比べ約30%少なかった。迷路水槽を用いた記憶学習能の評価においては各群間に顕著な差は認められなかった。さらに、摘出した脳を部位別に分け、それぞれからタンパク質を抽出し、2次元電気泳動によるタンパク質発現比較を行った。その結果、海馬においては発現パターンに大きな変化は認められなかったものの、視床および視床下部においていくつかのスポットに発現の増減が認められた。また、視床および視床下部のタンパク質抽出液からリン酸化タンパク質を採取し同様に発現比較を行ったところ、いくつかのスポットにおいて分子量が増加するという現象が見られた。タンパク質のリン酸化は様々なシグナルを誘導することが知られており、鉄欠乏性貧血またはそれに伴う運動量低下が視床および視床下部の機能へ影響したと考えられる。
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