2009 Fiscal Year Annual Research Report
制御工学手法に基づく三次元加速度信号からの酸素摂取量ダイナミクス計測法の開発
Project/Area Number |
20650110
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
新関 久一 Yamagata University, 大学院・理工学研究科, 教授 (00228123)
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Keywords | エネルギー代謝 / 伝達関数 / ヒルベルト変換 / 歩行運動 / トレッドミル |
Research Abstract |
本研究は三次元加速度信号から酸素摂取量(VO_2)ダイナミクスと歩行周波数を推定する手法を開発することを目的とした。歩行運動時の三次元加速度ベクトル振幅(A_<3D>)とbreath-by-breathで計測したVO_2との伝達関数をARXモデルを用いて推定し,ステップ負荷で検証実験を行った。A_<3D>は三次元加速度ベクトル信号のヒルベルト変換による瞬時振幅値として求め,歩行周波数は瞬時位相の微分値から計算した。トレッドミルを用いた漸増速度運動によりA_<3D>とVO_2間に時速2.5km/h~5.5km/hの間で線形性があることを確認した。伝達関数は2.5~5.5km/hのM系列信号により推定し,ステップ負荷におけるVO_2のキネティクスをインパルス応答とA_<3D>とのコンボリューション演算で求めた。個人毎の伝達関数を用いるとVO_2ダイナミクス推定の二乗平均平方根誤差(RMSE)は1.23ml/min/kgと良好な推定値が得られた。また,性別毎のグループ平均伝達関数を用いるとRMSEは1.9ml/min/kgであり,精度は50%ほど低下した。歩行周波数はトレッドミル速度2.5~6.5km/hの範囲で±1.5%の誤差以内で推定可能であった。以上より,個人毎の伝達関数を予め計測しておくことで,加速度センサのA_<3D>からVO_2のダイナミクスと歩行周波数を精度良く推定可能であることを示した。個人毎の伝達関数を簡便に求める手法を開発することが今後の課題である。最終的に被験者毎のインパルス応答をフィルタ係数としてソフトウェアにインプリメントし,コンボリューション演算によって被験者の経時的なVO_2を計算するアプリケーションソフトを開発した。研究成果は第56回米国スポーツ医学会大会,第11回医用物理生体工学国際会議,第24回生体生理工学シンポジウムで発表した。
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Research Products
(4 results)