2008 Fiscal Year Annual Research Report
3次元音響バーチャルリアリティによる視覚障害者ための反響定位訓練システムの開発
Project/Area Number |
20650146
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
大内 誠 Tohoku Fukushi University, 総合マネジメント学部, 准教授 (40326715)
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Keywords | 反響定位 / echo location / 聴覚ディスプレイ / 頭部伝達関数 / HRTF / バーチャルリアリティ / 視覚障害者 / 障害物知覚 |
Research Abstract |
イルカやコウモリは,自ら発する音声が壁や障害物に反射して戻ってくる音を聴覚で捕捉し,元の音声とのわずかな差を認識することによって障害物までの距離はもとより,その大きさまで捉えることができる。すなわち「反響定位」である。外界の情報を視覚から得られない全盲者にとっても,この反響定位の技術は有益であり,実際に一部の視覚障害者によって積極的に利用されているが,その獲得機序や訓練方法が確立されていない。そこで、本研究では、3次元音響バーチャルリアリティ(以下VR)の技術を応用し、仮想空間の中で安全にしかも効果的に反響定位の訓練ができるシステムの開発を行い、あわせて、訓練技法を考案する。これによって、視覚障害者の空間認知能力や障害物などを回避する能力を飛躍的に向上させることができ、視覚障害者のQOLの向上に寄与できるものと考える。 反響定位に最低限必要な手がかりは、以下の3項目であることが伊福部・関(1993)らの研究によって明らかとなっている。(1)直接音と一次反射音による先行音効果とそれによって引き起こされる音像移動,(2)外耳道内での直接音と反射音の位相干渉とそれによって引き起こされるピッチの変化,(3)障害物への接近による両耳間相関係数の変化。 平成20年度は,上記の3つの手がかりをPC上で模擬するために必要な信号処理技術の収集と獲得,障害物知覚に関する文献収集,ならびにVRシステムの試作機の開発を実施した。本VRシステムは,音源から直接耳に届く音,前後左右の壁・天井・床面の材質の違いによる一次反射音,空気減衰,ドップラー効果などをリアルタイムに模擬することが可能である。 なお,まだ聴取実験は行われてはいない。
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