2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20650154
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
中村 博昭 National Institute for Materials Science, 材料ラボ, 名誉研究員 (60354164)
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Keywords | 合成化学 / 建築構造・材料 / 環境材料 |
Research Abstract |
産業の発達に比例し増加する酸化性ガスは酸性霧や酸性雨となり、建造物や生活環境に影響を与える。銅・銅合金の緑青は数十年経過による自然化学反応で得られ、購造物を100年以上保護する被膜となる。しかし、近年は環境の悪化で永年を経ても緑青を得ることが困難になっている。 本研究の人工緑青の製作技法は、自然環境下の銅表面に得られている、亜酸化銅と各種塩基性銅化合物との積層構造の皮膜からなる緑青を乾式法によって合成する。 各種塩基性銅化合物の乾式合成用に製作した反応容器は、耐酸化性と耐熱に優れた硬質ガラスと石英ガラスを組合せた構造からなり、熱的衝撃に対応し常温から350℃の温度調整が可能である。容器内に各種ガスを導入するには、硬質ガラス板に数個の注入孔の穴を設けて広範囲のガス制御ができる反応容器を製作した。 反応容器内に各種酸化性ガスと水蒸気の混合ガスおよび各種酸を蒸発したガスを導入し、50〜250℃に過熱した銅板とガスとを接触させて銅板表面に生成物を合成した。得られた各種生成物のX線回析の解析から、銅板の過熱条件と酸化性のガス種により銅表面に亜酸化銅を生成させ、その上層に銅化合物(硝酸銅・塩化銅等・・)からなる積層構造が得られることを解明した。さらに、亜酸化銅の上層に得られた生成物(銅化合物)を反応により塩基性銅化合物に移行させるための方法を検討した結果、生成物が付着した銅叛を一定温度と一定湿度の槽内に保持することにより、緑青成分の塩基性銅化合物が生成することを明らかにした。 これらの成果は、自然緑青と同一の積層構造を乾式合成で得られることを見出したと考えられる。
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