2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20650155
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堤 浩之 Kyoto University, 理学研究科, 准教授 (60284428)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田上 高広 京都大学, 理学研究科, 教授 (80202159)
|
Keywords | 断層地塊山地 / 隆起 / 削剥 / 熱年代学 / 六甲山地 / 木曽山脈 / 第四紀 |
Research Abstract |
本研究では,日本の山地地形研究への熱年代学の適用の有効性を検証することを目的として,中部・近畿地方の断層地塊山地の隆起・削剥史を熱年代学の手法で明らかにする.平成20年度には,六甲山地と木曽山脈を研究対象地域として,岩石試料の採取とフィッション・トラック(FT)年代測定を行った.六甲山地については,露頭とボーリングコアから採取された花こう岩試料についてFT年代測定を行い,本地域の約50〜30Ma以降における総削剥量が約1〜2.5kmと求められた.これを平均削剥速度に換算すると0.01mm/yrのオーダーとなり,六甲山地の第四紀における隆起速度と比較すると著しく小さい.六甲山地の第四紀における隆起量は,大阪層群の分布高度から1km以上に達すると考えられており,このことから現在の六甲山地の概形が第四紀に形成されたことが推定される.木曽山脈では,山脈の稜線付近から採取された岩石から数MaのFT年代が得られた.これは過去数Ma間に数kmに達する削剥が起こったことを示唆しており,木曽山脈が鮮新世〜第四紀に急速に隆起している証拠が得られた.これらの結果は,熱年代学の手法によって日本列島の山地の隆起・削剥史に関して定量的なデータを提供できる可能性が高いことを示唆している.平成21年度は,より新しい地質時代の隆起・削剥量を明らかにするために,より閉鎖温度の低いウラン・トリウム・ヘリウム((U-Th)/He)年代測定を行う予定である.
|
Research Products
(3 results)