2009 Fiscal Year Annual Research Report
クラゲ異常発生の行方とその大量の死骸が海洋生態系へ与えるインパクトの解明
Project/Area Number |
20651002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 潤 Hokkaido University, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教 (10292004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 徹 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 准教授 (60209971)
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Keywords | 大型クラゲ / 異常発生 / 腐肉食者 / 海洋生態系 |
Research Abstract |
本研究では主に大型クラゲを対象にし,近年,連続して発生している大型クラゲの異常発生に伴う,その大量の死骸が海洋生態系へ与えるインパクトを解明することを目的としている。初年度である20年度は,海底に沈降後の大型クラゲの死骸に誘引される生物を撮影するための一定間隔で撮影を行うタイム・ラプス・カメラシステムを2器作製してテストを実施してきたが,大型クラゲの大量発生はなく実海域での実験はできなかった。今年度は,本種が日本海に大量に出現する10月に北海道大学水産学部附属練習船おしょろ丸の日本海実習航海時に,隠岐諸島の南東の水深約240mの点にて,上記タイム・ラプス・システムを用いて,大型クラゲ死骸に誘引される生物の観察を行った。その結果,死骸が海底に到達してまもなく(約10分後)から,腐肉食者であるクモヒトデ,巻貝がクラゲ死骸に集まるのが観察できた。 また,どのような個体が死亡後に海底へ沈降するかを明らかにするため,今年度は,生きた大型クラゲの生体密度計測を行った。結果,大型クラゲの生体密度は,周囲の海水密度より若干重かった。また,大型クラゲより手に入りやすいミズクラゲを用いて,種による生体密度の違いおよび,クラゲの生体密度と周囲の海水密度との関係について調べた。その結果,種による生体密度の差はなかった。また周囲の海水密度を変化させた時,ミズクラゲの生体密度は海水密度に応じて変化し,順応したクラゲの生体密度は,周囲の海水密度に関わらず,海水よりやや重かった。これより,遊泳が困難なクラゲは,海底に沈降する可能性が高いことがわかった。次年度は,大型クラゲの生体密度を重点的に計測する予定である。。
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Research Products
(1 results)