2009 Fiscal Year Annual Research Report
石英の種々の物理特性を指標とした日本へ降下する風送ダストの大陸起源変動の解明
Project/Area Number |
20651005
|
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
豊田 新 Okayama University of Science, 理学部, 教授 (40207650)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長島 佳菜 海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 研究員 (90426289)
谷 篤史 大阪大学, 理学研究科, 助教 (10335333)
西戸 裕嗣 岡山理科大学, 自然科学研究所, 教授 (30140487)
|
Keywords | 電子スピン共鳴 / 石英 / 風送塵 / ルミネッセンス / 大気循環 / 古気候 / 放射線 |
Research Abstract |
日本を含む東アジア地域の気候は、アジアモンスーンによってもたらされる夏の降雨や冬の北西風、そして上空の偏西風に強く依存している。従って、東アジア地域の気候変動を知るためには、こうした大気循環の変動を調べることがきわめて重要である。本研究では、気象研究所の採取した過去30年間の日本列島各地の降下物試料から石英を抽出し、ESR(電子スピン共鳴)による6種類の格子欠陥の量の測定、X線回折測定による結晶化度の測定、TL(熱ルミネッセンス)、OSL(光刺激ルミネッセンス)、CL(カソードルミネッセンス)による各特性の測定を行い、風送塵の起源地の同定とその変動を解明することを目的とする。 福岡と秋田の気象台で採取した1969年と1971年の降下物についてESR測定を行ったところ、細粒のフラクションでいずれも酸素空孔量が高く、最大の値がタクラマカン砂漠の細粒堆積物の値に近いことがわかった。また1969年の方が高く、また月による変動が観測された。一方、粒度分布を調べたところ、少なくとも2つの分布があることがわかった。粗粒が現地性、細粒が風送塵起源と考えられるが、この分布には採取地による特徴はあるものの、年変動、月変動が見られなかった。すなわち、細粒の風送塵起源と考えられるフラクションに酸素空孔量の変動がみられることがわかった。このことは、風送塵として飛来した時点ですでに酸素空孔量に変動があることを示している。すなわち、中国内に酸素空孔量が異なる起源地が2つ以上あり、その混合の割合が変動していることを示していることになる。アルミニウムに関連した不純物中心を含めて解析を行っているが、現在のところ中国内の起源地をはっきり同定できる精度で議論はできていない。
|