2008 Fiscal Year Annual Research Report
エージェントベースアプローチに基づく環境効率のリバウンド効果に関する研究
Project/Area Number |
20651009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
石田 葉月 Fukushima University, 共生システム理工学類, 准教授 (20302309)
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Keywords | ABM / リバウンド効果 / 環境効率 |
Research Abstract |
平成20年度は、当初においては、エージェントベースアプローチに基づいてリバウンド効果を分析するための基礎的な準備を整える予定であった。リバウンド効果の既存文献の収集および整理については当初の予定通りに進行した。その結果、従来のリバウンド効果研究がいかに新古典派の方法論に依拠し、また、制度派および進化論論的アプローチが適用されていないかが明らかとなった。しかしながら、こうした基礎的な準備を進めるうちに、エージェントベースアプローチの土台となる進化論的アプローチの理論的枠組みについて再認識する必要性を強く感じるに至った。そこで平成20年度は、エージェントベースアプローチと密接に関係する進化ゲーム理論について、その進化的意味合いを検討することにした。具体的には、「社会的ジレンマ問題」に焦点を当て、その研究においてしばしば前提とされている「利己主義的な個人」モデルについての問題点を整理した。具体的には、まず、利得単調性の進化論的意味合いを考察し、利己主義モデルの現実的妥当性を検討し、さらに、協力行動を利己主義モデルによって説明しようとする研究態度そのものの持つ問題点を指摘した。検討の範囲は社会心理学研究の領域まで広げ、利他的な行動がどのような動機と結びついているのかについてのこれまでの社会心理学的な研究論文をサーベイし、それらの知見を経済学モデルに取り入れることの重要性を主張した。なお、この研究結果については、「地域創造」において研究論文として発表した。
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