2008 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界二酸化炭素を原料としたダイヤモンド合成法の開発
Project/Area Number |
20651024
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
渡辺 敏行 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (10210923)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸谷 健朗 東京農工大学, 大学院・工学府, 技術職員 (50397014)
|
Keywords | 超臨界流体 / 二酸化炭素固定化 / ダイヤモンド / プラズマ / スワンバンド |
Research Abstract |
従来の主な炭素材料合成法である化学気相合成法(CVD)は数百Pa程度の圧力下で行われるため、原料である炭化水素ガスの単位体積当たりの密度は低く、合成に時間がかかることが問題であった。我々は合成速度を高めるために高密度の超臨界流体を原料として利用することを考えた。超臨界流体とは高拡散性・低粘性の気体の性質と高密度・高溶解性の液体の性質を併せ持っている流体である。超臨界流体を反応媒体のみならず原料として利用し、原料活性種密度を高めることにより、合成時間の短縮が期待される。本研究ではこれまで超臨界CO_2中でRFプラズマを用いて、電極上にナノダイヤモンドを合成することに成功した。 これらのラマンスペクトルはダイヤモンドに起因する1333cm^<-1>、ナノダイヤモンドに起因する1090cm^<-1>、1150cm^<-1>にそれぞれピークが検出された。高倍率TEM像ではダイヤモンドの(111)面の2.06A間隔の格子像も観察された。また、分解によって発生した酸素により、電極に用いた金属が酸化していることも判明した。このように超臨界条件下でRFプラズマを用いると、簡単にCO_2を分解・還元し、炭素を基板上に高速固定化できることを見出した。またその炭素生成物はグラファイトではなく、ダイヤモンドが主成分であることがわかった。 超臨界CO_2RFプラズマ発光を分光器で検出したところ、CO_2が分解し、生成したO原子、CO分子の存在を確認した。また、炭素分子の最小単位であるC_2分子も存在していることが分かった。これはCO_2を原料として炭素材料が生成していることを裏付ける結果である。圧力を変化させてプラズマ発光を観察することにより、発光スペルトルが圧力増加と共にブロードになることも分かった。このような現象は通常のCVD法では観察されない。このC_2分子の激しい衝突が、ダイヤモンドの生成速度を高めていると考えられる。
|