2009 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化ナノリングの形成原理の解明と光捕集アンテナへの応用
Project/Area Number |
20651025
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
矢貝 史樹 Chiba University, 大学院・工学研究科, 准教授 (80344969)
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Keywords | 超分子 / ナノリング / 水素結合 / 自己集合 / ナノ構造 / 自己組織化 / π共役分子 / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
本申請研究は、導電性π共役分子であるオリゴフェニレンエチニレン(OPE)を導入したディスク型超分子(OPEディスク)が、強いπスタッキング相互作用のために傾いて積層して湾曲したカラムを形成し、その結果直径40nmほどの"ナノリング"を形成するという極めて珍しい現象の解明を目的とする。H20年度は、まずこの現象の一般性を調査すべく、OPE以外のπ共役分子部位を有するディスク型超分子を調製した。π共役分子としてオリゴフェニレンビニレン(OPV)もしくはオリゴチオフェン(OT)を有するメラミン素子を合成し、シアヌル酸素子と混合することによってディスク型超分子を合成した。メチルシクロヘキサン溶媒中でディスク型超分子を組織化させ、高配向グラファイト基板にキャストし、形成されるナノ構造を原子間力顕微鏡により精査した。OTディスクはπスタッキング相互作用が弱いためにカラムが湾曲せず、ロッド状のナノ構造を形成することがわかった。一方OPVディスクは強いπスタッキング相互作用のために直径40-100nm程のナノリングを形成することがわかった。これらの結果から、π共役部位を変化させることで、リング状やロッド状のナノ構造を作り分けることが可能であることが明らかになった。現在、ナノリングやナノロッド内における電荷の輸送特性を検討している。さらに、OPVディスクに関しては、メチルシクロヘキサン中での濃度を上昇させることにより開環が起こり、溶媒をゲル化することも明らかになった。
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