2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20651040
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 雄一郎 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授 (60451788)
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Keywords | 単層カーボンナノチューブ / 電界発光 / ナノデバイス / 光物性 / 物性実験 |
Research Abstract |
2009年度は単一の単層カーボンナノチューブのフォトルミネッセンス測定および光伝導度測定を中心に研究を進めた。 まず、電荷組み上げ発光デバイスにおいて基板が発光に与える影響を明らかにするため、様々な幅の溝を架橋したカーボンナノチューブのフォトルミネッセンス測定を行った。清浄なカーボンナノチューブの特性を調査するために、試料準備において最後にアルコール化学気相成長法により単層カーボンナノチューブを合成した。フォトルミネッセンス・イメージングにより単一のカーボンナノチューブを特定し、励起分光によりそのカイラリティーを同定した上で、スペクトルを収集した。これらの測定では、架橋部分では強い発光が見られ、基板と接触している部分では発光は観測できなかった。また、(9,8)のカイラリティーを持つカーボンナノチューブについて、発光強度の架橋長さ依存性を調査した結果、モデル計算と比較することにより励起子の拡散長を求めることに成功した。励起拡散は励起子-励起子消滅を介して発光効率に大きな影響を与えるため、カーボンナノチューブにおける発光に関する重要な知見を得ることができた。 次に、電荷組み上げ発光デバイスではゲート電圧によるバンド変調が重要なため、光伝導度測定によりこれを調査した。単一の単層カーボンナノチューブによるバックゲート型電界効果トランジスター構造を用い、励起波長・ゲート電圧・バイアス電圧を変化させて測定を行った。レーザーの位置を走査することにより光伝導度像を得て、カーボンナノチューブの位置を反映して局所的に伝導度が増加する箇所があることを確認した。また、ゲート電圧によって伝導度が高くなる領域と低くなる領域が存在することを見出した。
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