2008 Fiscal Year Annual Research Report
地方産業集積地における事業継続マネジメントの実態と新たな枠組み構築に関する研究
Project/Area Number |
20651048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小浦方 格 Niigata University, 地域共同研究センター, 准教授 (30401772)
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Keywords | 自然災害 / 事業継続計画 / 産業集積 |
Research Abstract |
新潟県による県内企業に対する事業継続計画(BCP)普及実態調査によれば、2008年現在でもBCP策定率は2割程度と低い。しかし、2006年の新潟県中越地震では、機械、電気・電子、食品産業集積地である小千谷市、川口町が大きな被害を受けたにも拘わらず、地震の影響で事業継続を断念した企業は無い。小千谷市内製造業計6社を訪問し、中越地震並びに2007年の中越沖地震の際の事業復旧等に関して聞きとり調査を行ったところ、同地域産業の特色と、それ故のBCP策定に対する課題や近隣企業群との連携可能性等について、いくつかの知見が抽出された。即ち、明文化されたBCPを持たないにも拘わらず、渾然一体となった地域コミュニティと企業コミュニティという地方産業集積地に特有の社会形態により、極めて強固な共助と自助メカニズムが災害発生時に機能したことが描き出された。また一般に知られていない事実として、顧客被災企業に対する直接的、間接的緊急支援がやや広域にわたる産業集積地域間において見られたことは特筆に値する。一方で、未だ具体的BCPへの落とし込みがほとんどなされていないこと、公的セクターとの連携や地域共有資源の非常時における活用方法、特に代替生産地・設備や金融面での支援に関しては公的部門に対する期待が大きいにも拘わらず、米国の例と比較しても何らかの改善が望まれる。BCPのISO化が極めて近い将来に予想されており、企業地震のBCP策定率向上にむけ、BCPの正しい理解を普及すること、大手顧客企業をも含め、地理的かつ産業構造的に連携しうる枠組みを、統計データ等から抽出、提案することが本研究の今後の課題であり、財務的にも人材的にも余裕の少ない地方の中小企業群にとって重要な情報を提供できると期待される。
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Research Products
(2 results)