2009 Fiscal Year Annual Research Report
地方産業集積地における事業継続マネジメントの実態と新たな枠組み構築に関する研究
Project/Area Number |
20651048
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小浦方 格 Niigata University, 地域共同研究センター, 准教授 (30401772)
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Keywords | 自然災害 / 事業継続計画 / 産業集積 / GIS / 産業構造分析 |
Research Abstract |
新潟県中越地震後の小千谷市内製造業を調査することにより、特定の製造業が集積する地方都市において、地域コミュニティと企業コミュニティの重複関係から、自然災害等によって事業継続上の障害を受けた後の復旧、復興には、平時から形成されたコミュニティ内での強固な自助と共助の仕組みが極めて効果的に機能することが明らかとなった。被害が甚大な組織にとっては、それ以上に他地域・同業他社との連携(緊急時OEM等)や公的金融支援が、組織の存続の鍵であることが示された。コミュニティ内の共助システムとしては、相互融通可能な経営資源情報の共有を、地域内だけでなく、他(多)地域との間で進めることが、地域としての事業継続計画の中核となると言える。また緊急時には、外部から寄せられる支援を効率良く配分するためのヘッドクオーター的機能を設置する重要性が示された。「BCPは金がかかる」としばしば耳にするが、これらの取り組みに多額の費用は要しない。さらに、特に大規模自然災害を考慮した場合、比較的遠隔で、かつ類似した産業構造を持つ他地域と連携して各種の策を講じることは有効である。そこで、GISの解析機能を用いて小千谷市中心部かちの時間距離を計測し、あわせて、新潟県を含む北陸、東北南部、北関東、中部10県の市区町村に対し、国勢調査と事業所・企業統計調査データを用いた主成分分析により。同市と遠隔地域間の相互連携可能性を検討した。その結果、近隣では長岡市、柏崎市、3~4時間圏では上田市、安曇野市、富岡市、滑川市、射水市等が小千谷市との相関が高く計測され、連携可能性の高さを示した。これらは、個別組織間の受発注情報を全く考慮していないものの、各地域における産業構造と相互アクセシビリティについて、定性的にはよく一致していると思われる。今後は地域別の詳細研究により、具体的な政策として提案可能と考えられる。
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Research Products
(1 results)