2008 Fiscal Year Annual Research Report
培養非依存的手法を用いた自然生態系からの新規プラスミドの取得とその多様性の解明
Project/Area Number |
20651050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
津田 雅孝 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 教授 (90172022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 裕二 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (30237531)
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Keywords | プラスミド / メタゲノム / 水平伝播 / ゲノム進化 / 環境 |
Research Abstract |
細菌由来の多種多様な生物機能を支配するプラスミドは、水平伝播能を備えることから、宿主細胞の広範で迅速な環境適応能獲得と進化に極めて大きく貢献する。しかし、未だ培養困難な細菌群が大多数を占める実際の自然生態系に存在するプラスミドに関する系統立てた包括的解析は皆無である。本研究では、宿主細胞の培養を割愛した手法を駆使して、自然生態系から様々な機能を担うプラスミドを綱羅的に取得・解析し、また、当該生態系での取得プラスミドの挙動を解析することで、細菌におけるプラスミドの生物学的重要性を包括的に提示することを目的としている。当該年度には、Pseudomonas属細菌由来のサリチル酸分解細菌株を受容菌とし、原油汚染土壌由来細菌群との遺伝学的接合を行うことで、後者細菌群内在性の多環芳香族化合物分解プラスミドを捕捉した。約200kbの本プラスミドは多環芳香族化合物をTCA回路中間産物にまで分解するために必要な酵素遺伝子セットを有しており、また、他のPseudomonas属類縁細菌に自己伝達が可能であった。一方、工業廃水処理活性汚泥から調製した細菌叢メタゲノムの塩基配列解析より、α-プロテオバクテリア由来と推定される37kbの自己非伝達性プラスミドpSKYE1を見出した。pSKYE1上は、フェノールヒドロキシラーゼとカテコールジオキシゲナーゼの遺伝子クラスターのみを担うという点で、既知分解系プラスミドとは大きく異なる新規性を有していた。
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