2008 Fiscal Year Annual Research Report
地域個体群の定義法と保全への応用 ーニホンザルの保全ー
Project/Area Number |
20651062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川本 芳 Kyoto University, 霊長類研究所, 准教授 (00177750)
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Keywords | ニホンザル / 地域個体群 / マイクロサテライト遺伝子 / 常染色体 / Y染色体 / 孤立 / 直接増幅法 / DNA抽出 |
Research Abstract |
アカゲザルゲノムプロジェクトの成果を参考にしながら、核DNAのマイクロサテライト遺伝子座で、ニホンザルの地域個体群調査に有効と思われる標識座位を検討した。この結果、地域個体群の定義に向けた基礎データを与える標識を常染色体で11座位、Y染色体で3座位選んだ。常染色体では、すべての標識座位が4塩基の反復多型を示すので、反復塩基単位が短い標識より遺伝子型の判定が容易に行えることを確認した。また、今年度に発売された新しい酵素の性能試験を進めて、従来の方法との違いを検討した。新酵素によるPCRでは3'端のアデニン付加の影響が軽減できるので、特にY染色体の標識座位のタイピングで再現性の高い結果が得られるようになった。この他に、新酵素の利点として、少なくとも一部の標識座位の試験で、従来収集し冷凍保管している血液試料から、DNA抽出をせずに直接増幅反応で遺伝子型が判定できることを確認した。この方法を併用しながら、当初に計画した地域のニホンザルについて、各座位の遺伝子型の検索を進めている。試料収集では、学術捕獲や有害捕獲を行う関係者の協力を得て、新しい試料の追加を進めている。なお、当初計画では、ネスティドPCR法で糞試料からの遺伝子型判定を計画したが、新酵素の成績が良好なことから、計画を変更してこの酵素を利用した糞試料の分析方法の開発を進めている。これまでに、ミトコンドリア遺伝子では糞からの直接PCRが可能な条件を見つけているので、今後はこれを改良しながらマイクロサテライト遺伝子のタイピングを可能にする方法を模索する予定である。
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Research Products
(4 results)