2010 Fiscal Year Annual Research Report
バナールな事柄に着目したコミュニティのエートス変容に関する研究
Project/Area Number |
20652003
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
山本 史華 東京都市大学, 知識工学部, 准教授 (20396451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 健 東京都市大学, 知識工学部, 准教授 (40259726)
千田 茂博 東京都市大学, 知識工学部, 准教授 (00187874)
岡山 理香 東京都市大学, 知識工学部, 准教授 (50298006)
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Keywords | エートス / 倫理 / バナール / コミュニティ / 調査研究 / 地域運営学校 / 景観 |
Research Abstract |
山本は、2009年の東北哲学会第59回大会で、現代の日本社会がこれまでにない、質の違ったイラ立ちに満たされていることを指摘し、それが起こる背景・エートスを分析した上で、どうすればよいかの提案を試みたが、その内容を論文(「現代の倫理的なイラ立ちについて共生と寛容の手前で」)にまとめ、『東北哲学年報』No.26に発表した。 井上は、2つの質問紙調査:【子ども調査】(2009年11月、サンプル数327)、【保護者調査】(2010年1-3月、サンプル数275)の結果を分析し、報告書『都市部のコミュニティ・スクールに通う子どもと保護者の地域とのかかわりに関する調査研究』(2011年3月発行、全98頁)をまとめた。本調査の特徴は、都市部のコミュニティ・スクールに指定された4つの学校区で、ありふれた(バナールな)事柄に着目し、そのコミュニティの子どもと保護者の意識と行動を探る点にある。調査結果からは、地理的にそれほど離れていないに関わらず、人々の地域へのかかわりや教育への意識が大きく異なっており、「地域とともに子どもを育てる」ためには、地域の実情や特性を重視すべきことが改めて確認された。 千田は、井上の調査をもとにして、都市部のコミュニティで必要とされるのは、これまでのコミュニティとは異なった新しい「共に生きている」という感覚ではないかということを心理学的見地から助言した。 岡山は、バナールな生活景の中に見出されていた「意味」が景観の中で失われてゆくことが、コミュニティのエートス形成とどのような影響関係にあるのかを考察するべく、神奈川県川崎市のショッピングセンター(ラゾーナ川崎)周辺地域、東京タワー周辺地区と建設中のスカイツリー周辺地区の比較調査を行った。 また、本研究に関わる4人がベースとなって『世界を読み解くリテラシー』萌書房を編集・発刊した。このテキストは、コミュニティのエートス変容にはリテラシーの問題が深く関与しているという観点のもとにつくられている.
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Research Products
(2 results)