2008 Fiscal Year Annual Research Report
『医心方』所引の仏教関連書籍から見る東アジアの仏教医学伝播の諸相
Project/Area Number |
20652004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kogakkan University |
Principal Investigator |
多田 伊織 Kogakkan University, 文学部, 研究員 (30310783)
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Keywords | 中国哲学 / 史料学 / 仏教学 / 日中文化交流史 / 科学史 / 古文書学 / 木簡 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
1.台湾における文献調査本年度の海外調査は、当初中国を予定していたが、調査予定時に鳥インフルエンザ蔓延の恐れがあったため、平成22年度に予定していた台湾に調査地を変更した。台湾では、台北市の故宮博物院と国家図書館の善本室で、明治期に流出した日本の古医籍を中心に『医心方』所引の典籍を調査し、一部史料の複印を得た。また若干の収書を行った。この成果については、平成21年度に学会発表および論文発表を予定している。 また、台中市に赴き、中国医学史の研究者である中興大学の林富士教授および中国医薬大学立夫中医薬展示館を訪問、当地の中国医学研究者と情報を交換し、交流を図った。 2.日本における文献調査国立国会図書館・北里大学・金沢文庫・京都大学などで、『医心方』および中国医学関連の文献を精査した。この調査により、隋唐時代までの中国古医籍の残存状態の理解および『医心方』所引の典籍の研究が進んだ。 また、7月に兵庫県豊岡市において、但馬国府跡の祢布ケ森遺跡出土の習書木簡を調査、平安期における日本の漢籍受容の実態について、知見を得た。この成果については、12月に木簡学会で発表、来年度(平成21年12月刊行予定)の『木簡研究』に論文掲載予定である。 3.『医心方』所引の仏教医学文献の輯佚と復元購入した書籍を利用し、『医心方』所引の仏教医学文献の内、「僧深方」を輯佚し、復元を試みている。この成果については、12月に京都大学人文科学研究所の共同研究「陰陽五行のサイエンス」(武田時昌教授)で発表、論文は平成22年度刊行予定の同共同研究の報告論文集に掲載予定である。
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