2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20652008
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
外山 紀久子 埼玉大学, 教養学部, 教授 (80253128)
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Keywords | 身体文化論 / 現代舞踊研究 / パフォーマンス・アート研究 / 国際情報交換 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
平成22年度は、本研究の中心的な素材であるアメリカのポストモダンダンスおよびハプニングの再解釈を継続すると同時に、現代アートに伏在する古代的なもの(ネオ・プレモダニズム)の系譜に対して身体論的観点から考察を加え、両者に通底する「<行>の身体」の位相を明らかにすることを試みた。以下の通り、最終年度として所期の成果を達成することができたと思われる。 中国・北京で開催された第18回国際美学会議に出席し、本研究の成果の一部を口頭発表するとともに、内外の研究者との意見交換や研究交流の機会を得た(発表原稿は学会会報に掲載予定、また、スロヴェニアの学会誌から翻訳・掲載依頼を受けている)。 日本学術会議・富山県立山博物館共催によるシンポジウム(「<場の感性>の蘇生に向けて」)を企画運営し、梅原賢一郎氏(京都造形芸術大学)、鳥越けい子氏(青山学院大学)をはじめ、環境倫理学・音楽美学・哲学・芸術学・民俗学等多方面の研究者との研究ネットワークを構築する機会を得た。特定の場所と一体化し、生活や信仰に根差したプレ・モダンの芸術の様態に関する様々なアプローチの可能性が開示された。 海外の現地調査としては、ロサンジェルスのゲッティ・センターおよびゲッティ・ヴィラを訪問し、ゲッティ研究機関におけるレイナーやカプロー関連のアーカイヴ資料について調査した。またサンフランシスコ近郊ケントフィールドでアナ・ハルプリン関連施設のフィールドワークを行い、映像資料を入手、さらに、ハルプリン門下の実践家3名に対するヒアリングを実施した。ポストモダンダンスやハプニングの展開にとって不可欠のソースであったハルプリンに関する調査を通して、身体という資源・生命資本の開拓がどのように「生と芸術の融合」ないし「生きるためのアート」というアヴァンギャルドの課題に応えうるものであるか、より明らかとなった。
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Research Products
(1 results)