2009 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀から今日までの美術作品にみる「外国人」イメージについての総合的研究
Project/Area Number |
20652013
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Research Institution | Joshibi University of Art and Design |
Principal Investigator |
奥山 亜喜子 Joshibi University of Art and Design, 芸術学部, 准教授 (70317593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 朋子 女子美術大学, 短期大学部・教職課程, 准教授 (50331418)
中力 えり 和光大学, 現代人間学部, 准教授 (50386520)
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Keywords | 表象文化論 / 「外国人」イメージ / 国籍法 / 移民政策 / 「国民」概念 / 国民国家 / 差別 / 芸術学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ステレオタイプが典型的に現れる対象の一つとして、芸術作品に読み取ることができる固定化された「外国人」イメージの変遷を時系列的にとらえ、社会科学(法学・社会学・教育学)の視点から多角的に分析することである。 平成21年度は、基礎的な研究を総括する意味で、日本、フランスそしてドイツにおける「外国人」をめぐる社会的条件の変遷を表した年表と、実施した国内外の調査報告を内容とする中間報告書を作成した。 また、海外調査はアメリカ・ハワイ州とドイツで実施した。ハワイでの調査は、8月に研究分担者1名が実施し、ハワイ大学ハミルトン図書館及びビショップ・ミュージアム、移民博物館、日本文化センターを訪問した。それらに所蔵されている新聞(日系新聞、米系新聞)、絵画、写真などの資料収集を実施し、多様な民族・人種・国籍の者を受容すべき必要が生じていたいわゆる移民の国、アメリカ合衆国においても、「外国人」イメージが固定化されていく実例を確認した。 ドイツへは12月に研究代表者と分担者の2名が渡航し、まず、ベルリン国立歴史博物館で開催されていた展示「19世紀から今日までのドイツにおける外国人」を鑑賞した。また、ユダヤ博物館、東ドイツ博物館も見学し、関連資料の収集を行った。さらに、戦後処理によって、ナイセ川を挟んでドイツとポーランドに分断された地、ゲルリッツ(ドイツ)とズゴジェレツ(ポーランド)を訪問し、「国民」「外国人」という概念の意味をとらえなおすべく、実地調査や資料収集を行った。 最終年度である次年度は、得られた知見をさらに深めるための調査活動も継続しつつ、平成20年、21年に収集した資料をもとに、芸術作品中に固定化された、「外国人」概念(労働力、支配・興味の対象、敵対者、スケープゴートとしての存在など)の変遷について、芸術学専攻の研究者の協力を得て研究を総括していきたい。
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