2009 Fiscal Year Annual Research Report
趣味家集団「集古会」が近代の中世(文学)研究の生成に与えた影響についての研究
Project/Area Number |
20652018
|
Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
牧野 和夫 Jissen Women's University, 文学部, 教授 (70123081)
|
Keywords | 集古会 / 江藤正澄 / 色定法師一筆一切経 / 趣味家 / 宋版大蔵経 / 林若樹 / 絵葉書 / 知恩院蔵大蔵経 |
Research Abstract |
本研究は、近代のおける趣味家の活動(蒐集・展観を中心とした研究)が古典籍・古物資料研究、とくに中世の仏教関係の古典籍・経典類の研究などに果たした役割の重要性について、具体的な資料を介して探ろうとする、萌芽的な研究である。平成21年度の研究実施計画の第一に掲げた林若樹の日記の翻刻は、年度内五回開催の集会において読み合わせ(成沢麻子・杉山友美・矢口郁子他)を行い、大正三年分(手帳一冊)を終了した。22年10月刊行の『実践国文学』78号に掲載予定である。第二に掲げた研究計画は、九州における集古会初期会員である江藤正澄の仏書研究の活動を追尋すべく、九州大学附属図書館での調査を行う。その過程で明瞭となった問題については、一部分は寺社縁起研究会(2009・5・8)で予備的な報告を行った。22年度に学内機関誌などに掲載予定である。 当萌芽研究の遂行過程で宗像大社保管色定法師一筆一切経が知恩院蔵宋版大蔵経と緊密な関係のあることが判明し、その解明を21年度の調査目標の重要な一つにした。知恩院蔵宋版大蔵経の2度に亘る調査によって、可能性の高さを確認しえた。大阪の趣味家村松百兎庵旧蔵資料などの22年度の調査の可能性を探った。川崎巨泉などについても、若干の資料を収集した。「大蔵会」関連の問題は、渡辺信和氏が着手して目録作成へ動き出した住田智見氏旧蔵書についても報告を得た。
|