2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20652034
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Research Institution | Hiroshima Jogakuin University |
Principal Investigator |
田中 秀毅 Hiroshima Jogakuin University, 文学部, 准教授 (50341186)
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Keywords | 英語 / 言語学 / 関係詞節 / 数量詞 / 日英比較 |
Research Abstract |
本年度は日本語における数量表現付きの関係詞節について考察した。 加藤(2003)はつぎの例の遊離数量詞「二冊」の解釈として、(1)「前から欲しかった本」の一部分を指す解釈(部分解釈)と(2)欲しいと思っていた本の総数を指す解釈が可能であると指摘している。 (1)本屋に行って、前から欲しかった本を二冊買って、… 解釈(2)は「前から欲しかった本」がタイプ名詞で「二冊」がそのトークンを指していると分析できる(トークン解釈)。一般に遊離数量詞の先行詞が定名詞(タイプ名詞を含む)の解釈を受ける場合、遊離数量詞の解釈は部分解釈かトークン解釈のいずれかになる。 田中(2000)で指摘されたつぎの例はどのように説明されるだろうか。 (2)?*山田はそこで[その後の人生を一変させる]本を一冊買った。 まず、トークン解釈は不可能である。「その後の人生を一変させる本」はタイプ名詞の解釈を受けられないからである。そもそもタイプ名詞とは定義上、時間と空間の制限を受けられない。(1)では「その後」が主節の「(一冊)買った」の時点を受けているためタイプ解釈ができないのである(cf.[飲むと悪酔いする]酒を一本飲んだ)。 つぎに(2)の部分解釈であるが、これも成立しない。「その後の人生を一変させる本」が二冊以上の本の集合を指すするとその一部を「買う」ことということは、買わなかったものは「その後」の人生を一変させる本の資格を失うことを意味する。これは関係詞節が主節時に時間的に依存するためである(cf.[あなたの人生を一変させた]本を一冊挙げてください)。
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Research Products
(1 results)