2008 Fiscal Year Annual Research Report
対人コミュニケーション能力教育を導入した新しい英語教授法の構築
Project/Area Number |
20652045
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
小山 哲春 Kyoto Notre Dame University, 人間文化学部, 准教授 (60367977)
|
Keywords | 対人コミュニケーション / 英語教育 / 測定 / コミュニケーション能力 / 認知的複雑性 / コミュニケーションスタイル |
Research Abstract |
平成20年度は、本研究の第一課題である「外国語(英語)習得・運用と対人コミュニケーション能力との関係性の理論的・実証的考察」のうち、日本人の対人コミュニケーション能力の測定方法に関する理論的検証、実際の測定方法(質問紙調査票)の開発、実施、その結果の分析を行った。具体的には、構成主義コミュニケーション論の対人コミュニケーション能力に関する理論的枠組みを日本人話者において検証するため、対人コミュニケーション認知構造の構成要素である「認知的複雑性」と個人的なメッセージ産出・解釈傾向である「メッセージデザインの理論(MDL)」に着目し、この二つの変数が日本人話においてどのように相関するのかを観察した。日本大学生220名(女性150、男性70)を対象に、RCQ (Role Category Questionnaire)と呼ばれる自由記述式質問紙票(日本語版)による「認知的複雑性」の計測と、Elicitation法(質問紙)による「MDL」の計測を行い、日本人と英語話者のMDLの分布の違い、および日本人における認知的複雑性とMDLの相関を分析した。結果は、コミュニケーション能力(認知的複雑性)とメッセージデザイン(MDL)の関の汎文化的傾向の可能性を示唆するものとなった。過去の異文化コミュニケーション研究の成果から導かれる理論的な予想(e.g.,日本の文化規範要因を考慮すれば、能力の高い話者でも慣習型理論を用いる)に反し、修辞型理論を持つ話者の認知的複雑性が際立って高いことが明らかとなり、日本人の中でもコミュニケーション能力に秀でた話者は、「間接的で社会的に適切な言葉遣い」に固執することなく、目的を達成するためにメッセージを操作する傾向にあることが分かった。この結果を受け、平成21年度には、対人コミュニケーション能力と外国語(英語)習得・運用との関連を検証し、第二課題である教育学的な示唆を探求する予定である。
|