2008 Fiscal Year Annual Research Report
近世フランスの外務卿府書簡文書と対英米外交に関する史料学的研究
Project/Area Number |
20652051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
森原 隆 Waseda University, 文学学術院, 教授 (70183663)
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Keywords | フランス外交 / 外務省 / 外交文書 / 勢力均衡 / ヴェルジェンヌ / ルイ16世 / 書簡 / 英米外交 |
Research Abstract |
「研究目的」としてあげた(2),実施計画2の観点から,まず近世フランスの外務卿府における外交書簡文書にかんする包括的な文献史料の調査と渉猟を行った。現地にて、フランス国立古文書館における関連史料調査と国立図書館における研究文献調査を敢行した。その史料の時系列、地域別、内容別の分類・整理を行い、史料全体の見取り図の作成を行っている。また研究文献についても、研究史に基づくおおまかな系統別の分類整理を実行した。個別の分析としては、近世フランスの外務卿府の実態を、とくにルイ15世期の「筆頭係官」premier commisの職務や機能、役人層の徴募や出身階層の実態などについて、プロソフォーグラッフィ的な分析をすすめた。J.-P.Samoyault(1971年)や、Arnaud de Maurepas(1996年)の研究なども取り入れながら、グラフや図表、系統図作成などを検討した。また,目的(1),実施計画3の観点から,ヴェルジェンヌ外務卿時代に焦点を当て、ヴェルジェンヌに関する伝記や評伝などの個人研究書を渉猟することで、ヴェルジェンヌ自身の生涯を追跡調査した。M.PriceやJ.-F.Labourdetteなどの研究文献を参考にしながら、ヴェルジェンヌの外交路線の検討に入った。ルイ16世との往復書簡を手がかりにしながら(J.Hardmanの研究、1998年)、とくに英米に対する均衡政策のメカニズムなどについて検討した。また、1778年に焦点を絞り、当時の新聞・雑誌の記事分析から、アメリカの独立戦争への介入をめぐる、当時の外交問題に対する議論を分析し始めており、これとヴェルジェンヌ個人の外交理念がいかに関係していたかを今後詳細に検討したいと考えている。
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