2008 Fiscal Year Annual Research Report
権威主義的政治システムの民主化と法変動の相互関係--台湾の場合
Project/Area Number |
20653001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 賢 Hokkaido University, 大学院・法学研究科, 教授 (80226505)
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Keywords | 台湾法 / 民主化 / アソシエーション / 人民団体法 / 結社の自由 / 許可制 / 民間組織 / 大法院会議 |
Research Abstract |
今年度はアソシエーション法に関する共同研究に加わることとなったため、効率的な進行に資するため、当初の予定を変更し2年日に予定していた民間組織、アソシエーションの法制度が民主化の中でどう変容し、また法制度の変容がアソシエーションの活動にいかなるインパクトを与えたかに関する研究に取り組むこととなった。 台湾においてアソシエーションに法的地位を与える基本法としては、中国に国民政府があった時代に制定された人民団体法(1942年)があるが、それは国際社会における中華民国体制の孤立化にともなって進んだ政治システムの民主化と踵を接して、1989年、1992年、1993年、2002年(この年は2度の改正)の改正を経て、現行法に至っている。団体設立への規制を緩和し、結社の自由を実質化する内容を含み、法改正によって現実にもアソシエーションが活発化し、結社革命と呼ばれる状況が出現した。現行法では団体の設立登記にはまだ管轄官署の設立許可手続を要するが、さらに行政による過度の介入を後退させた届出制への変更、監督・管理権限の民間委託などを含む抜本的な制度改革に向けて議論が続いている。現在、統一的な法規律を欠く財団法人についても立法が準備されようとしている。 人民団体法2条、53条では、共産主義や国土の分裂を主張する団体については、設立を許可しない旨の規定をおき、結社の自由を制限していたが、2008年6月20日の司法院大法官会議644号解釈は、この制限規定を憲法が規定する結社の自由、言論の自由に対する保障と符合しないとして、即時失効を宣言した。すでに事実上は空文化していたとはいえ、これにより政治的なイデオロギーによるアソシエーションの制約が法律上、消えることとなったのは、台湾のアソシエーション法にとってはまた一段階発展を遂げたと評しうる。
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Research Products
(4 results)