2010 Fiscal Year Annual Research Report
権威主義的政治システムの民主化と法変動の相互関係――台湾の場合
Project/Area Number |
20653001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 賢 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80226505)
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Keywords | 台湾法 / 民主化 / 憲法解釈 / 大法官 / 司法改革 / 取り調べ可視化 / 刑事手続 |
Research Abstract |
本年度は3年間にわたる本研究の締めくくりの年であり、幸い2010年10月から半年間、職場からサバティカル休暇を与えられたため、そのほとんどの期間を国立台湾大学法律学院に滞在し、研究を効率的に進めることができた。本研究に関して具体的には以下のような実績を得た。(1)司法制度や訴訟制度改革、刑事取り調べ過程の可視化、刑事取引制度導入をめぐる議論、制度の詳細、その導入後の運用実態、効果とメリット、デメリット、他の方面への影響などにつき、資料収集を行うとともに、以下の実務家、研究者に対してヒヤリング調査を行った。司法院大法官(蔡清遊)、司法院刑事庭(林俊益庭長)、板橋地方検察署(蔡碧玉署長)、民間司法改革基金会(林正峰執行長、弁護士)、顧立雄弁護士(萬国法律事務所)、王兆鵬・台湾大学法律学院教授、陳運財・東海大学法学院教授。(2)大法官会議における憲法解釈の実情につき、元大法官の廖義男(現世新大学教授)氏および学者出身の現役大法官である李振山、陳春生氏に対してインタビューを行い、大法官会議の具体的な運用実態につき調査を行った。(3)以下のように台湾各地の大学で研究成果について講演する機会を得て、各大学の研究者、院生と議論をすることにより、研究成果の検証を図った。台湾大学、淡江大学、輔仁大学(以上、台北)、東海大学、中興大学、静宜大学(以上、台中)、高雄大学、中山大学、中正大学(以上、高雄)の各法学院など。(4)研究を総括するための論文執筆の準備を進めるとともに、台湾法史に関する定番的な概説書である王泰升『台湾法律史概論』(元照出版、2009年)を邦訳し、日本で出版する作業を進めた。後者は北大出版会から2011年度中には出版される見込みである。
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Research Products
(6 results)