2009 Fiscal Year Annual Research Report
観光創造現象における観光者の経験価値による「物語創造」に関する研究
Project/Area Number |
20653025
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
乾 弘幸 Kyushu Sangyo University, 商学部, 教授 (50299400)
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Keywords | 観光創造 / 観光行動 / 経験価値 / 物語創造 / ホスピタリティ / 関係性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、観光者の一連の行動プロセスに焦点をあて、その中から創り出される経験価値が物語を創造するのかということを探り出すことにある。 本年度は2年目となる中間年度であり、主として「人と人との関係性」についての考察を行った。前年度の文献サーベイの理論理解をさらに深めるために人の集まりによる「関係性」に焦点をあて、研究の方向性を探り出すことを中心に行った。 主として、文化人類学的な見地から、V.L.Smithによる"Host and Guest"から「接遇場面」のホスピタリティについての理解と、その理論化を試みた。前年の平成20年度において行った「社交・出会い・相互作用」というキーワードを含めながら、人間が出会う際にどのような物語を創造するのか、またその物語を創造する要因は何なのかを探るために、人間のさまざまな出会いの場における調査を実施した。この調査は、主たる観光地、観光対象(北海道・東京)での聞き取り調査として行っている。 これらの調査から、人と人との関係性が本研究の主題である「物語創造」におおきな影響を与えていることが明確になった。さらに、この関係性理論に「ホスピタリティ」の概念を応用することにより、観光者の行動プロセスにおける「接遇場面」が自身の物語化に極めて印象的な要素を提供することも明らかになった。 本年度は、博士学位論文の執筆を行い、ほぼ完成となったが、本研究のプロセスの中で明らかになった関係性概念の新たな一面をその記述に含めるために、最終年度の平成22年に提出することとした。 以上のように、本年度の研究においては、ホスピタリティ概念から得る「関係性」理論の新たな一面を整理することが最も重要な作業であった。本年度は、その成果として主としてセミナーでの研究成果の発表、ならびに国立大学法人和歌山大学での「観光経営マネジメント講座」での招聘行使としてホスピタリティ理論について講演を行った。
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