2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20653029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
土屋 礼子 Osaka City University, 大学院・文学研究科, 教授 (00275504)
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Keywords | プロパガンダ / 心理戦 / 第二次世界大戦 / チラシ / コミュニケーション / 日本研究 / 連合国軍 / アジア太平洋 |
Research Abstract |
エフェメラ・メディアのデータベースを構築するために、まずこれまで各機関で収集してきた宣伝ビラ資料を整理し、さらに資料補充のためにロンドンの国立公文書館、戦争博物館、大英図書館などに出張して、画像や資料を入手した。これで連合軍による対日宣伝ビラのうち、中国大陸のものを除いて、八割以上を集めることができたと推測される。そこでこれまで収集してきた宣伝ビラ本体の画像とそれに対応する英文の説明書を、統合的なソフトを利用して入力する作業を開始した。約一万枚にのぼる画像には、異なる機関で同一内容のビラが保存されていることが多いために重複も多く、またそれぞれのビラに記されている識別番号が同一内容のものに複数附されている場合もあるので、整理番号を附して内容を確認しながら同定を行い、2009年3月末までに約1500点の入力を終了した。これは全画像の75%を整理した結果である。また、これと並行して、ビラ本体に書かれている文章をテキスト化して入力する作業も開始した。同じく2009年3月末までに約700点を入力し終えた。これはビラ全体の約半分であり、ほぼ計画通りに入力作業は進行した。その結果、テキストデータから、キイワードによる検索が可能になった。現在の中間時点における検索では、例えば「太平洋戦」という語を用いたビラが16点、「大東亜戦」という語を用いたビラは9点あり、また「東条」の語が出てくるビラと「天皇」という語が記されたビラは、同じく24点あった。また国名や地名では、「ビルマ」145点、「米国」124件、「東京」145件、「獨逸」82件などが多く、「米軍」188件、「平和」100件、「戦友」96件といった語が多用されているのがわかった。こうした用語検索はエフェメラ・メディアの内容分析と整理には欠かせないものであり、利用価値が高い。次年度は、これらのデータの入力を完成させ、さらに画像の情報、制作に関する情報や資料、流通散布や受け手に関わる情報などをどのように付け加えてゆくかを検討し、データベースを完成させる予定である。
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Research Products
(3 results)