2009 Fiscal Year Annual Research Report
公共交通機関撤退が及ぼす地域社会変容の社会学的研究
Project/Area Number |
20653031
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
堀畑 まなみ J. F. Oberlin University, 総合科学系, 准教授 (40348488)
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Keywords | 社会学 / 公共交通 / 地域社会 |
Research Abstract |
3つの研究目的のうち、フィールドにて行う研究は2つ(自治体の同意をなくした法改正への評価、交通弱者への対応状況と駅前商店街における影響)あり、これについて、調査研究を行うことができた。 実施計画にてあげた、ちほく鉄道の調査である。ちほく鉄道は2006年4月に廃止された鉄道で、全長140キロメートルに及んでいた。廃止後の対応(代替バスの利用状況)と駅周辺の状況について、足寄町、陸別町、北見市への調査を実施した。各市町では、過疎化が進み、地元では、交通弱者対策が更に必要になっていたため、無料のコミュニティバスやデマンドタクシーを取り入れるなど。公共交通への対策を進めていた。しかし鉄道がなくなったことで、陸別町では10人程度は病院に通いにくくなる、何かあったときに移動しにくいことが不安になったなどのため、移住をしていた。結局は、弱者へしわ寄せが及び、その弱者は公的に声を上げないことがわかった。経済的指標や多数決を是とする論理では割り切ることができない状況もあることが、研究を通じて改めて理解できた。 また、実施計画では廃止された鉄道としてもう1つ、のと鉄道調査を上げていたが、予算の都合で、兵庫県三木鉄道へと計画を変更して実施した。三木鉄道は全長6.8キロメートルと第3セクター鉄道の中でもきわめて短距離め鉄道であったが、2008年4月に廃止となった。三木市の中心部はそう大きくはないが、高齢化した住民にとっては小さな段差などが危なく、あまり長い距離を歩くことはできない。高齢化が進んでいる現状から、代替バス以外にも、駅跡地の整備をすすめて、日常の買い物や地域交流を進める施設を建設することになった。高齢化に重点を置いて、日常の社会性を重点とした対応として、興味深く捉えることができる事例の調査となった。
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Research Products
(1 results)