2008 Fiscal Year Annual Research Report
相互依存度選択状況における適応的対人感情モデルの構築
Project/Area Number |
20653039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
神 信人 Shukutoku University, 総合福祉学部, 准教授 (30296298)
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Keywords | 相互依存性 / 利他行動 / 返報行動 / 信頼 / 対人魅力 / 囚人のジレンマ / 評判 / 社会的ジレンマ |
Research Abstract |
平成20年度は、当初計画にあった1) 2)の研究に加え、3)の研究も行った。 1)自己呈示の逆効果に関する実験対人感情の一般特性に、非合理的な利他性を示す者には肯定感情を、合理的意図を隠しながら利他性を自己呈示する者には否定感情を抱く傾向があることを、場面想定法実験で検証した。具体的には、利他行動をしたとしても、そのためのコストを被援助者に意図的に伝えたり、その行為の社会的望ましさを強調したりした場合、行為者の印象は低下することが示された。この結果は、裏切りの誘因が大きい場合でも裏切らない者へ接近し、逆に-見利他的だがそれが合理計算に因っており裏切りの誘因が大きくなれば裏切ってしまう者を回避させる機能が、我々の対人感情システムにあることを示唆している。 2)相互依存度選択状況シミュレーションのアルゴリズム開発非合理的対人感情特性の適応性を演算するため複数のプレイヤーが戦略にしたがって行動を決定しながら相互作用する進化的シミュレーション・プログラムを開発した。20年度は順次型チキンゲーム状況における評判の効果を検証し、搾取を試みた相手に闘争を挑む非合理的行動が、過去の行動履歴が伝わる場合には適応になることが確認された。今後はプログラムを改良し、プレイヤーが対戦相手との相互依存度を変えながら囚人のジレンマをプレイする状況をシミュレートする。 3)集団成員の協力を引き出すのに有効なvulnerable行動に関する実験社会的ジレンマ的状況を用いた実験から、集団全体の利益を左右できる立場にある者は、集団のためのコストを率先して負うことにより、他成員に肯定的な対人関係認識を抱かせ、それにより自分への支援を引き出せることが検証された。この結果は、他者に搾取されかねないvulnerableな行動も、他者から信頼と支持を引き出し、長期利益に繋がることを示している。
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Research Products
(2 results)