2009 Fiscal Year Annual Research Report
相互依存度選択状況における適応的対人感情モデルの構築
Project/Area Number |
20653039
|
Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
神 信人 Shukutoku University, 総合福祉学部, 准教授 (30296298)
|
Keywords | 相互依存性 / 利他行動 / 返報行動 / 信頼 / 対人魅力 / 社会的ジレンマ / シミュレーション / 評判 |
Research Abstract |
平成21年度は、1) 実験室実験、2) 質問紙実験と3) コンピュータシミュレーション研究を行った。 1) 非露見状況における非協力行動への対人感情に関する実験室実験 この実験では、囚人のジレンマ状況(以下PD)を用いて、裏切りを選んでもそれが相手に露見しない(と思っていた)場合の行動が露見した場合、その行為者にどのような対人感情が向けられるのかを検討した。実験の結果、裏切りが露見すると分かっている時は協力して裏切りが露見しないと思った時は裏切る者は、常に協力する者よりは否定的感情が向けられた。ただし、同じ非協力行動でも、露見すると分かっていて行った場合と露見しないと思って行った場合では、後者の方がより否定的感情を持たれるだろうという仮説は支持されなかった。 2) 自主的援助と強制的援助への返報行動に関する質問紙実験 この実験では、強制されて行った援助行動と自主的に行った援助行動のそれぞれに対して被援助者がどのような返報反応を示すかを、場面想定質問紙を用いて検証した。結果からは、自主的援助をされた被援助者の方が、「お返しが相手に伝わらなくても、相手のためになれば良い」という非打算的返報傾向があり、援助してくれた相手との関係をより深めたいと感じることが示された。 3) 非合理的対人感情特性の進化的シミュレーション研究 複数のプレイヤーが、対戦相手の選択並びにその相手との関係の依存度選択を行いながら、囚人のジレンマをプレイする社会状況のシュミレーション・プログラムを開発し、幾つかの設定でシミュレーションを実施した。その結果、非合理的利他行動傾向と匿名状況でのみ利己的になる他者を回避する傾向が共進化する可能性が示唆された。
|
Research Products
(2 results)