2008 Fiscal Year Annual Research Report
職場におけるジェンダー・ハラスメントに関する心理学的研究
Project/Area Number |
20653040
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
田中 堅一郎 Nihon University, 大学院・総合社会情報研究科, 准教授 (80212033)
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Keywords | ジェンダー・ハラスメント / 作為を期待する言動 / 作為を期待する言動 / セクシズム / 性役割観 / 過剰な職務要求 |
Research Abstract |
当該研究の目的は、職場の女性にとって重要であるとみなされつつも、これまで中心的な論議が行われなかったジェンダー・ハラスメントに焦点を絞り、心理学的視点から検討することである。まず当該研究では、平成20年度では、まず職場のジェンダー・ハラスメントを「社会的性に基づく役割を他者に期待する言動」と操作的に定義し、予備調査を行った。その結果、ジェンダー・ハラスメントとみなされた言動は、女性に作為を期待する言動と、不作為を期待する言動に区分された。 続く調査1では、予備調査で得られた言動に基づきジェンダー・ハラスメント測定尺度(13項目)を作成し、尺度の信頼性と妥当性を検討した。分析の結果、ジェンダー・ハラスメントは、作為(「お茶くみや雑用をする役割を期待される」他5項目)と、不作為(「職場の花としての役割を期待される」他6項目)から構成された。 また、性差別観(セクシズム)が強い回答者ほど、あるいは性役割観が平等的でない回答者ほど、ジェンダー・ハラスメントを行いやすかった。調査2の結果から、類似概念(セクシュアル・ハラスメント、職場の不作法)との区分がされていることを確認された(これらの結果は、産業・組織心理学会第24回大会にて発表された)。 調査3では、ジェンダー・ハラスメントの経験および認知が及ぼす影響について検討された。ジェンダー・ハラスメントを経験するほど、回答者は自ら過剰な職務要求を課す傾向を示し、強いストレス反応を示した。
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