2008 Fiscal Year Annual Research Report
大学生の適応指導教室における長期サポート体験の構造と臨床の知の獲得過程
Project/Area Number |
20653046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
豊嶋 秋彦 Hirosaki University, 教育学部, 教授 (60113817)
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Keywords | 臨床心理学 / セラピスト論 / 職業的発達過程 / 適応指導教室 |
Research Abstract |
A適応指導教室のサポーターに対して、年度始めのエゴグラム等による選抜と指向性の確認、随時の個別スーパービジョン、年4回の集団スーパービジョン、PAC分析、非構造的面接、年度末のエゴグラム再実施を行った。B適応指導教室では、研究代表者が派遣した学生以外の調査協力者をえ、PAC分析と面接を実施した。また、学生期以来3年以上のサポーター暦を持つ4名の調査協力者を確保でき、PAC分析と面接を実施できた。 A適応指導教室の1年目サポーターでは、頻回のスーパービジョンにもかかわらず、半年程度は通室生との適切な関係形成ができない葛藤、通室生の言動に揺さぶられる体験、居心地の悪さなどの自己不確実感を感じ続けるのが一般的であり、それへの直面と、共通の話題から入る、球技を通した並行的関わりで入る中での共通感覚体験とが有効であうと示された。さらに、1年目後半から2年目始めにかけて安定した治療的関係が結ばれるようになるが、3年以上のサポーター暦を持つ者から、3年目に再び自己不確実感が訪れ、それへの対処ができるのが3年目後半になるという知見が得られ、サポーターにおける螺旋的発達仮説が提出できると思われた。 また、サポート1年目に転機をもたらす「臨床の知」として、(1)サポーター側が居ごこちの悪さを感じた時に、通室生の内面や状況全体を視る視点に転換し待つこと、(2)休暇明けの登校といった短期展望から、1〜数年後の自己実現に託す、長期展望に期する覚悟への転換、(3)通室生との関係性を、斜めの関係とヨコ関係の双方の間で往還させると通室生が変化することの発見などが、挙げられた。 これらの知見をもとに年度末、両適応指導教室に対する建策とスーパービジョン案をまとめた。
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Research Products
(1 results)