2009 Fiscal Year Annual Research Report
大学生の適応指導教室における長期サポート体験の構造と臨床の知の獲得過程
Project/Area Number |
20653046
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
豊嶋 秋彦 Hirosaki University, 教育学部, 教授 (60113817)
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Keywords | 臨床心理学 / セラピス上論 / 職業的発達過程 / 適応指導教室 |
Research Abstract |
平成20年度と同様に二つの適応指導教室の学生サポーターを対象とする、エゴグラムとPAC分析、半構造的面接、スーパービジョン等を実施したほか、次の二つの新しい試みによって比較対象例を収集した。 1適応指導教室でのサポート体験の後、臨床心理学専攻大学院に進学した群と、教職に就いた者とに、回顧による調査面接(PAC分析と半構造的面接)。これは平成20年度末に計画に加えたものである。 2学部期に2年間サポートしたのち臨床心理学専攻大学院を経て、終了後に同じ適応指導教室に指導員として3年間勤務した者を対象とした「指導員としての体験構造と発達過程」に関する回顧的な調査面接。 主な知見は以下の通りである。 (1)前出2の調査対象者も含め、サポーターとしての自己不確実感から試行錯誤を経た適切な対処法の発見、再びの自己不確実感、というサポーターにおける螺旋的発達仮説(平成20年度に提出)が確かめられた。 (2)自己不確実感への有効な対処法、サポーティーとの関係形成の方法、サポーティーの発達を促すかかわり方などは、試行錯誤の中で実感的につかむことによって始めて実践的な知となっていることが示された。事前指導やスーパービジョンで伝えた理解法・対処法・スキルの応用としてサポート活動が展開していくのではなく、有効な理解・対処ができたときに、「これが事前指導で教えられた○○なのだ」と了解できるのである。 (3)母性原理的かかわりの意義の発見と、共行動(北山修の「共同注視」に近い概念)ができたという体験とが、共通してサポーターとしての発達のきっかけになっている。
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Research Products
(4 results)