2010 Fiscal Year Annual Research Report
大学生の適応指導教室における長期サポート体験の構造と臨床の知の獲得過程
Project/Area Number |
20653046
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
豊嶋 秋彦 弘前大学, 教育学部, 教授 (60113817)
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Keywords | 臨床心理学 / セラピスト / 職業的発達過程 / 適応指導教室 / 不登校生サポート活動 / 体験知とスーパービジョン |
Research Abstract |
学生サポーターに対する調査のほか、指導主事、指導員、通年で適応指導に関わる現職教員も対象とした調査と、本研究で得た知見に基づく集団スーパービジョンも実施し、さらに、学生サポーターを務めたのち教員となった者におけるサポート体験の意味も分析した。また新たに、サポーターの自我状態について、普段の自分(現実自我)とサポート時の自分(イメージ自我)の二つをエゴグラムを用いて追跡した。主な知見は以下の通りである。 1.学生サポーターに限らず、指導主事・指導員・研究員も、通室生との関わり場面でしばしば自己不確実感に襲われるが、それを乗越え発達する主契機が、(1)内面へのまなざし、(2)俯瞰するまなざし、(3)未来へのまなざし、(4)斜めからのまなざし、(5)傍らからのまなざしの獲得であることが知られた。 2.サポーターの現実自我は、サポーター開始8ヶ月後には、エゴグラムの理想型に近づく。 3.エゴグラム他者否定型のサポーターは、スーパービジョンを参照していることを示す調査結果がえられにくく、自他肯定型でも、数ヶ月~1年の試行錯誤を経てえた体験知が、「スーパーバイズされていたそのことなのだ」と気づくことが多いのに対して、教員歴のある者は、教歴での体験知をスーパービジョンを通してリフレーミングし、体験知を修正していく。学生サポーターの対人支援職に向けた発達にとっては、スーパービジョンにも増して、サポーター間のインフォーマルな協議を確保すること(協議による体験知)が重要であると示唆された。 4.スーパーバイズは、イメージ自我を早期に自他肯定型に変えるのに有効である。 5.学生サポーターを務めたのち教員となった者の分析結果から、必要に応じて上述のまなざしに転換して個と関わることがスムーズな学級経営に結びつく示唆を得た。
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Research Products
(4 results)