Research Abstract |
前年度は,所属機関からの支援を受けて,本研究の方法論の第一人者であるSteven C. Hayes博士の所属するUniversity of Nevada, Renoに客員研究教授として滞在し,直接に,本研究の<エンジョイ・イン>モデルの「たたき台」となるコンセプトに関する討論をおこなった。その討論に基づいて,University of Nevada, Renoの所属する日本人留学生(外国生活のため多大なストレスを抱える対象として)を対象に予備研究を実施した。 本年度は,前年度の成果をまず公表することを行った。具体的な成果としては,1)その討論に基づいて作成された提言論文の学術雑誌(英文)への投稿と掲載(2009年7月に公刊),2)Steven C.Hayes博士を日本心理学会に招聘し講演,シンポジウム,そしてワークショップを開催(2009年8月に実施),3)ストレスを抱える日本人留学生を対象にした予備研究の成果を学術雑誌(英文)への投稿(現在,査読中),であった。特に,2)の招聘によって,本モデルの基礎となる「アクセプタンス&コミットメント・セラピー(Acceptance & Commitment Therapy ; ACT)の方法論(Hayes, Bond, Barnes-Holmes, & Austin, 2006)の概念の浸透を図ることができたと考えられる。 また,それと平行して,本格的なアクション・リサーチ実施に向けてフィールドとなる学校を選定していく作業を行った。しかし,学校というフィールドの判断を優先させたため(十分なインフォームド・コンセントを行いながら),計画が遅滞している状況である。しかし,本年度当初の計画通り,この「研究の実施困難性」についても記述していき,その<エンジョイ・イン>モデルとの関係性を現在整理しているところである。
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